クラブという「場」が変わってしまった
もし私がその場にいたら、「やめろ」と怒鳴ったに違いない。ほかの客も、香川氏や杉森氏を止めたはずだ。それは、人道的な行為というわけではない。銀座だけではなく、クラブというのはそういう「場」だったのだ。
今は、客もママも、ホステス嬢たちも変わってしまったのだろう。全部がそうだとはいわないが、銀座のクラブが、安手のキャバクラと変わりがなくなってしまった。2人の目を覆うばかりのセクハラは、そういう時代を象徴する“事件”だと、私には思える。
長年、銀座で多くの酔客を見てきた『クラブ由美』のママ・伊藤由美さんが『「運と不運」には理由があります 銀座のママは見た、成功を遠ざける残念な習慣33』(ワニブックス)でこう書いている。
「お酒は人間を丸裸にします。理性のタガが緩み、心の鎧が外され、その人の本質が表に出てきます。酒は人なり。お酒を飲んだときの品性=酒品は、その人の本当の姿でもあるのです」
酒品か。杉森氏や香川氏は酒でその人となりが露わになった。2人の行為に多くの人が顔をしかめただろうが、自分の酒品がそれほどいいものか、改めて問い直すことも必要だろう。杉森氏や香川氏の卑劣な行いは、そのことの大切さを教えてくれる。