日本はまだインフレではない

同時に、筆者は政府がこれから金融政策でも誤りを犯すことを懸念している。

現在の物価高は円安のせいであるという、いわゆる「悪い円安論」が喧伝けんでんされている。

その結果、円安を止めるために、日銀は金融緩和をやめて利上げすべきだという世論が形成されてしまうだろう。

米国の中央銀行にあたるFRBは「物価の安定」と「雇用の最大化」という2つの使命を持っているが、参照する物価の1つの指標が消費者物価指数の「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」の伸び率だ。

一方、日本で消費者物価指数として使用されている数字には、エネルギー価格が含まれている。つまり、日本と米国では、物価指数の内訳が異なっているのだ。

米国と同じように、日本におけるエネルギーを除いた消費者物価指数の伸び率を見ると、足元では前年同月比+0.7%に過ぎない。

【図表】消費者物価指数(前年同月比)の推移

つまり、現在の物価高は食料やエネルギー価格の上昇によるものであって、需要が物価を押し上げているわけではない。

米国のインフレと日本のそれとは、かなり性質が異なるのだ。

金融緩和をやめればデフレ・円高に

このような状況下で、円安を止めるためだけに金融緩和をやめ、利上げという判断をすれば、日本経済は再びデフレや円高におそわれる可能性がある。

こうした誤った経済政策が実行されれば、自殺に追い込まれる人も増え、将来に絶望し他人を巻き添えにしようとする「ジョーカー」、すなわち「無敵の人」もますます増加することだろう。

今後3年間は衆議院選挙がないため、岸田政権にとって黄金の3年間だと言われている。

しかし、誤った経済政策が実行されれば、国民にとっては悪夢の3年間になりかねない。

日本国民にとっての「黄金の3年間」を招き寄せる、正しい経済政策が採用されることを筆者は願っている。

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