値上げの分だけ家計が苦しくなる
一方、消費の原資である賃金が、物価の上昇率以上に伸びるということは起きていない。
厚生労働省が従業員5人以上の全国3万余りの事業所を対象に行った毎月勤労統計調査によれば、基本給や残業代などを合わせた働く人1人当たりの現金給与総額は、名目ベースでは6カ月連続でプラスの伸びを維持している。
しかし、物価の変動分を反映させた実質ベースでは3カ月連続でマイナスとなっている。
そんな中、食品の平均的な値上がり率が14%、生活必需品の値上がり率が4.8%となれば、家計が節約に走り、消費が冷え込むことが懸念されるが、総務省が発表している家計調査のデータを見てみると、やはり消費が冷え込んでいることがデータに表れている。
家計が苦しい原因は「消費増税」
図表3は、2016年から2018年の各月の平均値をベースラインとして、2019年以降の毎月の消費支出のベースラインに対する乖離率をグラフにしたものである。
コロナ禍における特殊要因や2019年10月に行われた消費増税の影響を除く操作をしているが、消費増税以降、消費が冷え込んでいるのはあきらかだ。
企業にとっても大変苦しい期間が、すでに3年近くも続いているという、日本経済の厳しい現実が見て取れる。