「おもちゃの車を作るように、フルサイズの車を作る」
自動車は約3万点に上る部品の集合体だ。トヨタなどの自動車メーカーは、膨大な数の部品をすり合わせ技術で統合し、快適な乗り心地と信頼性を実現してきた。ところが、イーロン・マスクはこの部品の集合体であるクルマを、「文字通りおもちゃの車を作るのと同じように、フルサイズの車を作ろうとしている」と語っている。
With our giant casting machines, we are literally trying to make full-size cars in the same way that toy cars are made
— Elon Musk (@elonmusk) January 18, 2021
テスラのSUV「モデルY」のリア部のアンダーボディは、アルミ合金の一体鋳造で作り出している。モデル3の車体下部はフロント、バッテリーパック、リアの3つで構成されていて、リア部のアンダーボディは後輪のサスペンションなどを構成する部分になる。
モデル3のアンダーボディの一体鋳造を可能にしたのは全長20メートル、総重量400トン強の巨大な鋳造機「ギガプレス」だ。イタリアのIDRA社が製造したギガプレスは、高温で溶融したアルミ合金を金型に流し込んで型締力6000トンで成型する。
ギガプレス登場以前のモデルYのリア部のアンダーボディは、70回におよぶプレス加工、押出成形、鋳造を必要としていたが、それをギガプレスは約100秒で一気に作ってしまう。ギガプレスを使うことで、「製造スペースを30%削減し、約1000台あったロボットから300台を削減できた」とイーロンは胸を張った。
すでにテスラはモデルYのリア部だけでなくフロント部のアンダーボディもギガプレスで一体鋳造して作り出しており、製造コストは40%削減が可能となった。
まさに、おもちゃの車を作るように、フルサイズの車を作りつつある。これは自動車のものづくりを根底から変える可能性がある。