習近平が目指す「中華民族の偉大なる復興」

先に述べたように、習近平総書記の3選が確定すれば、台湾や台湾の一部とみなす尖閣諸島への圧力が強まるのは避けられない。

台湾を統一させなければ、習近平総書記が折に触れ唱えてきた「中華民族の偉大なる復興」は叶わない。

北京皇居の中国国旗
写真=iStock.com/TheaDesign
※写真はイメージです

振り返れば、中国は、2013年、東シナ海上空に「防空識別区」を設けて、尖閣諸島空域があたかも「中国の領空」であるかのように表示した。

2021年には海警法を施行し、国際的には沿岸警備隊として位置づけられている中国海警局の船舶に、有事の際、海軍と同じ役割と権限を与えることを決めた。中国は、この年、宇宙やサイバーなどの領域に関わる国防法も改正し、今年に入って、中国軍を海外に派遣して活動させる根拠となる海外派兵法の制定にも取りかかった。

「東アジア版NATO」に発展させられればベスト

このように着々と準備を進める中国に対抗するには、「3、4、5」という数字がキーワードになる。

安倍政権時代、外相や防衛相を歴任した自民党の河野太郎広報本部長は、7月10日、参議院選挙を受けての開票特別番組で、このように語っている。

「NATOのようなものになるかどうかはわかりませんが、QUADのようなまとまりを作る必要があります。他にもAUKUSやファイブ・アイズのようなまとまりも重要で、そういうところに日本は積極的に入って行くことを考えていかなければいけないと思います」

また、前述した元統合幕僚長の河野克俊氏も、「QUADは画期的な枠組みですが、イギリスやフランスを加えることができれば、より強固なものになるのですが……」と注文を付けている。

AUKUSとは、オーストラリア、イギリス、アメリカの3か国による軍事同盟だ。ファイブ・アイズとは、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのアングロサクソン系5か国による情報共有の枠組みを指す。

これにQUADを含めれば、それぞれ3か国、4か国、5か国からなる枠組みが、中国包囲網として存在していることになる。

ただ、QUADひとつだけでは、インド次第で揺らぐ可能性があるため、それらを統合し、ベトナムなども加えた「東アジア版NATO」のような組織ができればベストである。そうすれば、安倍元首相のレガシーをさらに進化させることができ、中国の動きを阻止できるのではないか。

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