飲食店で目立つ“危ない”メニュー

消費者も意識を変える必要があります。ほかにも、消費者の健康を脅かす危ないメニューは数多くあります。以下、鶏刺しや鶏たたき以外の料理のどこが危ないのか説明しましょう。

〈焼き鳥〉

焼きが甘い焼き鳥で実際に、カンピロバクター食中毒が発生しています。串にしっかり刺してあると、表面は焼けても中は火が通りにくく殺菌には至らないことがあります。焼きが足りないと思ったら、店にきちんと焼くように頼みましょう。

〈鶏唐揚げ〉

中心部が生に近い店があり要注意です。菌は、肉を調味液に漬け込んだりしているうちに肉の内部に入り込む可能性が指摘されています。食品安全委員会の研究で、1個30gの肉を調味液に漬け込んだ後、170度の油で3分間揚げてから引き上げ、その後の中心部の温度変化を調べた実験があります。

揚げたてで切った中身はうっすらピンク色、しばらく置いてから切った切断面は白に。ですが、揚げている途中もその後も、加熱殺菌に必要な75度で1分間維持、という条件を満たせていませんでした。つまり、菌が生きているかもしれないのです。

【図表2】唐揚げの外観と断面
唐揚げの外観と断面。3分揚げたものは外観、断面共にしっかり加熱されているように見えるが、殺菌できる条件に至っていない。揚げ時間が5分、6分のものは殺菌条件を満たしている。(出典=食品安全委員会

〈低温調理の鶏肉〉

最近は、低温調理でふっくらジューシーに仕上げたとアピールする店があります。家で作る人も増えました。しかし、加熱が不足していると殺菌できません。サラダチキンのレシピで、ジッパー付き袋に肉を入れて封をし、沸騰したお湯にドボンとつけて火を消して1時間放置、というようなものがあります。ですが、このレシピでは加熱が十分ではありません。

食中毒が家族や友人にうつってしまうリスクも

〈牛レバ刺し〉

牛レバ刺しは前述のとおり、店での生食用提供は食品衛生法により禁止されています。生のレバーを出し「勝手にどうぞ」と消費者にまかせる店がありますが、生で食べてはダメです。食中毒が懸念される腸管出血性大腸菌は、感染しても症状が出ない「不顕性感染者」がいて、その人からほかの人に感染したとみられる事例も報告されています。「食べてどうなろうが自己責任」は通用しません。大事な家族や友人に自分がうつしてしまうリスクを考えてください。

腸管出血性大腸菌
腸管出血性大腸菌。食べた人が気づかないうちに他者にうつす可能性がある。(出典=食品安全委員会