「発達障害では?」と思ったら産業医に相談を

このように、部下がトラブルや失敗を重ねる場合、その原因は、本人のヤル気や能力のせいではなく、発達障害の特性によることがあります。そしてそれは、怒ってなおるものではありません。

まずは本人と対話し、何が得意か、何が苦手かをしっかりヒアリングして、苦手部分をフォローするための工夫をします。

ただ、本人が自分の特性を理解していないこともあります。すると、上司や周囲が助けたいと思っても、なかなか支援ができません。その場合も、上司が直接本人に「発達障害だと思うから病院で診断を受けてみなさい」などと伝えるのは避けましょう。発達障害かどうかは、やはり専門家でないとわかりませんし、本人もショックを受け、上司との関係性がこじれる可能性があるからです。

まずは上司から産業医に相談し、その人の状況を説明して、どうすればいいか聞いてみましょう。その時は、職場でどんな困ったことが起きているのか、具体的な事例をメモしておいて説明すると、産業医も状況を理解しやすいでしょう。

発達障害の可能性が高いと判断された場合は、産業医から本人に、精神科を受診することを勧めてもらいます。もし本人が産業医との面談を拒む場合は、業務命令として面談を勧めることも考えましょう。

人にはそれぞれ得手・不得手があります。特性を理解したうえで、どんな仕事が向いているのか、どんな工夫をすれば本人も周りもスムーズに仕事を進められるのか、本人と産業医、上司が一緒に考えることが必要です。そして、誰もが働きやすい職場環境をつくってほしいと思います。

(構成=池田純子)
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