入社してから「予想や期待と違う」
最近、コロナ禍入社の社員たちや、その先輩、上司から相談を受けることが増えてきました。社会が大きく変化するさなかで就職活動を行い、入社した若者ですから、これまでの世代とは違ったいくつかの傾向があるようです。私が相談を受ける中で受けた印象では、大きく4つが挙げられます。
1点目は、不全感を抱えやすいことが挙げられます。コロナ禍新入社員は、就活もオンラインがメインで、会社の人との直接的なやり取りが少ないままで会社を選んでいます。また会社側も、コロナ禍対応に追われ、事業や働き方が今後どう変化するかわからないままで就活生に説明をしています。このため、新入社員の方では「入社してみたら、期待や予想と全然違っていた」「就活中に受けた説明とは違う」という不満を抱え、「思っていたのとは違う」という不全感を抱えやすくなっています。
2点目は、会社や部署への所属感の薄さです。会社ではオンラインのやり取りが増え、職場で誘い合ってランチに行ったり、打ち合わせが始まる前に雑談をしたりといった交流が減っています。このため、ほかの社員と個人として関わる機会が少なく、名前を覚えてもらって「○○さん」と個人で呼びかけられる経験が少なくなっているようです。このため、入社からしばらくたっても、なかなか会社や部署に対する所属感が持ちにくいという人が多いのです。
健康を害してまで働きたくない
3つ目の特徴は、モチベーションを保ちにくいことです。オンラインだと、いくらオンライン会議ツールやチャットなどでほかの人とやり取りしていても、パソコンに向かって1人で作業をすることがメインになります。もともと最近の若手は、自分から助けを求めたりするのが苦手な傾向がありますが、オンラインだと余計にハードルが高く感じてしまい、なんでも1人でやらなくてはと思ってしまうようです。同僚や同期の頑張っている姿が見えず、孤独感を抱えて「自分も頑張ろう」というモチベーションが保ちにくいのです。
健康リスクに対する意識が高いのも、コロナ禍入社の特徴の1つです。学生時代からコロナ禍を経験し「感染すると就活ができない」「周りに迷惑をかける」というリスクを常に意識してきたため、健康リスクを避けたいという気持ちが強いようです。それゆえ、過労死やメンタルヘルス不調にも敏感で、自分の健康を害してまで働きたくないという意識を持っています。