出社勤務が戻ってきた。「会社に行きたくない」と拒否反応が出てしまっている人はどうすればよいのだろうか。外資系企業で産業医を務める武神健之さんは「2年ぶりの出社推奨で不満やストレスの相談が増えています。でもこれから紹介する3つの習慣を心がければ、出社勤務に適応できます」という――。
ノートパソコンにうつ伏せているオーバーワーク気味の男性
写真=iStock.com/SIphotography
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2年ぶりの出社推奨で不満やストレス相談が急増

3月に新型コロナウイルス感染症に対するまん延防止等重点措置が終了し、早4カ月が経とうとしています。

私のクライアントでは、2年ぶりに社員たちに出社を求める会社も出てきました。出社頻度は毎日という会社から、ひと月の出社回数の上限や下限を設けた会社もあり、人々の働き方は以前にも増して多様性が出てきています。

そのような中、出社勤務に伴う不満やストレスの相談も増えています。

今回は、出社勤務に上手に適応するコツについて3つ書かせていただきます。少しでもお役に立てば光栄です。

イライラして仕事に集中できないベテラン社員のケース

出社勤務が始まってからすぐに、上司から人事経由で産業医面談に来たのは40代の男性社員Aさんでした。人事担当者の話ではAさんは勤続8年目、部署内ではベテランとして仕事も部下への指導もそつなくこなす、所謂、できる社員とのことでした。

「先生、出社勤務だとイライラして仕事に集中できないんです」開口一番Aさんは言いました。在宅勤務の静かな環境に慣れてしまってからの会社での仕事は、周囲のざわざわした音、人の話し声などがどうしても気になってしまう。そして、集中できなくなると、オフィス内で笑って話している人たち、お昼休みが長い人やコーヒー片手に休憩時間が多い人などなどがいることまでもが気になり、ますます気が散ってしまう。業務が予定通りにはかどらず、イライラした気分で帰宅する日が増え、先週、子供に怒鳴ってしまい、妻に最近イライラが酷すぎると指摘され、上司に相談したら産業医面談となったとのことでした。

面談でさらに話を聞いてみると、最近は夜寝るときに、明日も集中できないのではないかと考えてしまい、眠りも浅くなってきているとのことでした。出社してこなしている仕事は全てコロナ禍の在宅勤務時でもできていた。むしろ在宅での方が効率よく早く正確にできていた。同僚たちは出社しても、雑談したり休み時間を長く取ったり、全く集中して仕事していない。どうして私は、それなのに出社してやらないといけないのか。等々、彼の不満は続きました。

コロナ前の同僚たちの勤務態度がどうだったか聞いてみると、気にしたこともないとの返事でした(人事担当者の話では、メンバーもほぼ変わっていないし、部署の雰囲気は同じようでした)。

「職場環境にストレスを感じてしまっていてつらいですね。でも、在宅か出社かは、会社が決めることができるのですよね。他社でも出社勤務に対するストレスの相談はありますが、ある程度の時間で慣れていく人が多い印象です」と私が言うと、それもわかっているとのこと。

「自分の中でのイライラだけでなく、ご家族にもそれが及んでいるのであれば、一度心療内科やカウンセリングを受けるのも1つかもしれません……」との言葉には、自分は悪くないのに、そんなところには行きたくないの一点張り。産業医の無力さを感じてしまった面談となりました。