疲労をため込まないための3つの処方箋

では、どうすれば疲労をため込まないことができるのでしょうか。

産業医から3つの処方箋を出させていただきます。

①頑張りすぎない

まずは、疲労をため込まないために、何事もやりすぎない、頑張りすぎないことです。自分に甘くなれと言うのではありません。疲れている自分やいつもと違う自分に気がついた時は、頑張りすぎる自分を制する必要があるということです。

出社勤務が始まるのと同時に、何か習い事を始めたり、資格取得の勉強を始めたりする人たちもいます。うまくいっているのであればいいのですが、もし仮に、少しでも自分の調子が良くないと感じるのであれば、しばらくはそのような新たな頑張りはしなくてもいいのではないでしょうか。

カプセルの中に座って仕事をする、現代のホワイトカラーの過密な生活スタイル
写真=iStock.com/sesame
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②食生活、睡眠習慣、趣味の時間を「よい」ものにする

次に、疲労をため込まないために、よい食生活、よい睡眠習慣、そしてよい趣味の時間=気分転換を心がけることです。

何を持って“よい”とするかは人それぞれです。出社日の朝食を抜いている人はちゃんと食べるようにしましょう。在宅勤務の前日は夜更かししがちだという人は、出社勤務日と同じ時間に寝ることを心がけてもいいかもしれません。また、仕事と睡眠以外の時間の過ごし方や気分転換も出社日と在宅日で分けて考えると、有効に使えるかもしれませんね。

このようなことを出社勤務の変化に慣れるまで、意識してみるとよいでしょう。

③生活のメリハリを大切にする

3つ目の処方箋は、生活のメリハリに関する意識改革です。

働く人の多くは、コロナ前までは、働く日(主に平日)と休みの日(週末)の2種類の日常を過ごしていました。資格の勉強や趣味に使う時間、食事や睡眠に費やす時間など、無意識のうちに異なる過ごし方をしていたのではないでしょうか。今後は、出社勤務日、在宅勤務日、そして休日の3種類の日常生活が主流になってくると思われます。

働く日でも、出社勤務と在宅勤務では、過ごし方は当然変わってきますので、それぞれ自分なりのメリハリを設けるとよいでしょう。出社勤務日は一番忙しいでしょうから、食事は自炊に拘らない、趣味の時間は在宅勤務日と休日にするなど、時間の使い方から考えると意識しやすいと思います。

もちろん、どのようにメリハリをつけるかは人それぞれです。例えば、人との会食は出社日の外出ついでに……と考える人もいますし、在宅勤務日だからこそ、人と話したいと考える人もいます。それは、どちらでもいいと思います。大切なのは、自分が上手に変化に適応することなのです。