家電メーカーの「サンコー」は、シャツのしわを伸ばす乾燥機「アイロンいら~ず」や「おひとりさま用超高速弁当箱炊飯器」といった斬新な商品を発売している。なぜこうした「面白家電」を手がけるようになったのか。サンコーの山光博康社長の著書『スキを突く経営』(集英社インターナショナル)より、大ヒット商品「ネッククーラー」の開発秘話を紹介する――。

金属プレートで頸動脈あたりを直接冷やす

サンコー創業以来の最大のヒット商品はネッククーラーです。

いま現在の商品名は「ネッククーラーEvo」といい、市販価格は4980円ですが、2022年の夏向けに60万個を用意しました。5回モデルチェンジして現在は第6世代に進化しています(※)。2015年から販売を開始して累計80万個ですから、サンコーにとってはロングセラーの超大ヒット商品です。

ネッククーラーEvo(2022年)
画像提供=サンコー
ネッククーラーEvo(2022年)4980円

ネッククーラーは、ヘッドホンを首から下げるようにして装着し、首のまわりのけい動脈あたりの肌を冷やすアイテムです。先端の金属プレート部分が冷たくなって、首を直接冷やします。

同様のヘッドホン型として、左右に小型扇風機がついている商品もありますが、そこが決定的にちがいます。

※2022年4月から最新モデルとして「ネッククーラーSlim」を発売中。

『攻殻機動隊』に出てくるような未来的デザイン

電源をオンにしたら2秒か3秒程度でたちまち冷たくなります。マックスのモードでは、環境温度より15度低くなりますので、たとえば外気温が35度だったら、20度程度まで冷える性能をもっています。しっかり冷えて気分が楽になったら、”ゆらぎモード”に切り替えると、ちょうどいい冷たさを維持します。

「ネッククーラーEvo」では、2通りの電源を選べます。ひとつは専用バッテリーを充電しておいて後ろにセットすると、これで1時間半から2時間はコードレスで使えます。もうひとつはパソコンやUSB電源、市販のモバイルバッテリーなどとネッククーラーを直接接続して使います。パソコンで作業するときは、このコードをパソコンのUSB端子に挿しておけばいいわけです。

ライオンさんのロングセラー商品である「冷えピタ」を首に貼ったときとか、白元アースさんのこれもロングセラー商品である「アイスノン首もとひんやり氷結ベルト」などと、首を直接冷やすところは同じなのですが、サンコーのネッククーラーシリーズは電気製品であることと、見た目が『攻殻機動隊』に出てくる未来的なデバイスのような、カッコいいデザインになっているところが売りです。