「きれいな鼻筋だね」ロシア兵に性行為を強要された

ロシア軍が侵攻したウクライナの各都市では、民間人の殺害や民家からの物品の強奪などが無数に報告されている。こうした事件に混じり、あまり大々的に報じられることのない隠れた被害事例に、ウクライナ市民をターゲットにした性的暴行がある。

まだ大学生ほどの年齢の少女や、2人の子をもつ母、そして時には少年や男性などが銃をもったロシア兵らに屈し、消えることのない心の傷を負っている。

米ワシントン・ポスト紙は、ロシア軍兵士に性的暴行を受けた19歳少女の例を報じている。記事によるとこの少女は、ロシア軍に支配された南東部マリウポリで地下の避難所に身を寄せていたところ、身分証確認の口実で訪れた兵士らに目をつけられたという。

写真=SPUTNIK/時事通信フォト

記事によると日没が迫る頃、少女は飢えと氷点下の寒さに震えていた。頼りになるボーイフレンドがいるが、母の見舞いで外している。目出し帽をかぶった2人の兵士が地下室に押し入ってきたのは、その時だった。ロシア軍のチェチェン系兵士で、部隊の制服を自慢していたという。息は酒臭く、肩にはライフル銃が光る。

少女が身分証を提示するために立ち上がると、兵士のひとりが名前を聞いてきた。少女の頬に手を当て、鼻筋が美しいと褒めたという。彼女はのちに、同紙にこう打ち明けている。「心の奥底では、もう察していました」

兵士は嫌がる彼女を2階の空き部屋へと連れていき、かがませてソファに手をつかせると、行為を迫った。外では砲撃による轟音ごうおんがやまない。「したくないと答えました。でも、殺すといわれたんです」「そして、無言でもち上げられ、望むがままにされました」

地下室には男性も含めて多くの人々が避難していたが、銃をもつ兵士らを相手に抵抗などできなかったという。地下室に戻ったボーイフレンドがことの顛末てんまつを知ったのは、すべてが終わった後のことだった。