企業の資金調達の手段の一つであるコマーシャルペーパー(CP)の発行残高が昨年末時点で16兆5427億円と、2年ぶりの高水準に達した。

CPは支払い期日までの期間が短い約束手形で、額面の金額から利息分を引いた額が貸し付けられる「割引方式」で発行される。償還までの期日は1年未満で、特に30日以内の短期で発行されることが多い。

発行できるのは上場会社の中でも一部の優良企業に限定され、担保は不要。その分、確実に支払い(返済)ができるという信用性が必要とされる。

信用リスクが低いことや、1年未満の短期であることから、社債や銀行融資などに比べて金利が低い。社債のように利払いの手間がかからないため、事務負担も少ない。優良企業にとっては、短期的な資金を好条件で調達できる方法といえる。

投資家の側から見れば、利回りは低いものの安全性は高いため、一定の魅力がある。購入できるのは機関投資家に限られるが、証券会社が販売するMMF(マネー・マネジメント・ファンド)は主にCPで運用されており、個人投資家もこのMMFを通じて間接的にCPに投資できる。

次に会計上のCPの扱いについて見ていこう。まず、貸借対照表(B/S)の資産と負債の構成から説明したい。

同じ資産でも、売掛金や棚卸資産など短期で現金化できるものは「流動資産」、土地や建物など現金化に時間がかかるものは「固定資産」に分かれる。一方の負債も、借入期間が1年未満の「流動負債」と、1年超の「固定負債」とに分かれる。

資産と負債の関係はどうかというと、長期で使用する土地や工場など固定資産への投資については固定負債で賄う。そして、流動資産である仕掛品や在庫の維持管理については流動負債で賄うのが基本となっている。

肝心なCPであるが、償還までの期間が1年未満の借り入れなので、流動負債に計上される。つまり、そこで得た資金は流動資産に回され、なかでも「運転資金に充てられる」といわれることが多い。