バイデンの「米軍を派遣しない」発言は不用意だったか
なお今回の軍事侵攻に先立って、バイデン大統領はウクライナに部隊を派遣しない旨を明言し、かつその理由の一つとして、「軍事大国」ロシアと直接対決することは「第三次世界大戦」になりかねないなどと説明していた。このようなバイデン大統領の言動が、プーチン大統領に軍事行動をとらせる引き金になったという見方がある。
確かに戦略的曖昧さは重要であり、事前段階におけるバイデン大統領のこのような発言は軍事行動の心理的なハードルを下げさせる効果があったかもしれない。しかしながら、それはあくまでバイデン大統領の発言が今回の軍事行動の開始を決断させる一つの要因になったということであって、バイデン大統領の発言がなければ軍事行動もなかったということではない。
軍事行動の責任はあくまでロシアにあるのであって、バイデン大統領の発言を批判するにしても、この本質を見失ってはならないと思う。