中国、欧州も減速

一方、世界第2位の経済大国の中国も減速感が否めません。中国のGDP統計は、他の主要国と違い「前年同期比」であることに注意が必要ですが、トレンドはよく分かります。こちらも、1~3月は4.8%と減速感を強め、国家目標の「5.5%前後」には届かない状況です(図表2)。

中国の国内総生産(実質、年率、%)

中国経済が減速している大きな理由は「ゼロコロナ政策」です。皆さんもご存じのように、最大の経済都市である上海でロックダウンが長引き、多くの企業の活動が停止しました。さらには、その影響は首都北京にも飛び火しています。4~6月もさらに減速する可能性があります。

昨年あたりから経済に大きな影響を与えてきた「共同富裕」ですが、こちらは景気減速もあり少し緩め気味ですが、それでも経済にマイナスに働いてきました。

中国は政治の国で、国家の最大の目的は「共産党一党独裁体制の維持」です。メンツの国でもあります。そのために、一度言い出した「ゼロコロナ政策」は長引く可能性があります。また、ある程度コロナが終息に向かっても、「共同富裕」という名の「共同貧乏」政策をある程度継続するものと考えられます。

輸出入は言うに及ばず、経営コンサルタントである私の顧客先でも米国や中国に進出している企業はたくさんあります。米国や中国の景気の影響を、日本経済は受けざるを得ません。

そして、ウクライナ情勢もあり、欧州経済も減速気味です。ロシアからのエネルギー供給に欧州は大きく依存しています。ロシア制裁の一環で、ロシアからのエネルギーの輸入を制限することにより、エネルギー価格も高騰、食料品などの価格も上昇し、欧州全体でも7%以上のインフレとなり、英国の中央銀行もこのところ利上げに踏み切っています。欧州でも、ウクライナへの対応とともに、経済をある程度軽視してでもインフレ対策を行う必要が出ているのです。