遠くの相手こそわざわざ会いに行く
ちなみに言葉だけでなく、相手の表情や態度が雄弁に物語るという、忘れられない実例がありました。
1998年7月、参議院議員選挙中に当時の橋本龍太郎総理大臣が、『サンデープロジェクト』に生中継で出演しました。話題となっていた恒久減税について、「減税はいいけど、財源はどうするのか?」と問い詰めました。すると橋本さんは「減税するとは言っていない。税制改革をすると言っている」と言う。
何度もしつこく問いただしているうちに、橋本さんの発言がブレ始めました。橋本さんの目が明らかに泳ぎ始め、汗びっしょりで体を震わせている。その光景がテレビに大写しになってしまったのです。
翌日の新聞には「総理迷走」などと書きたてられ、結局選挙で自民党は敗北し、橋本さんは辞任に追い込まれてしまいました。
言葉だけではなく、いかに表情や態度が雄弁に真実を物語るかを明らかにした出来事として、いまでも記憶に残っています。
あとは、離れている相手に会いに出向くという行為そのものが、相手に対する一つのメッセージとなります。
わざわざ遠くから足を運んでくれたということで、相手もより心を開き受け入れてくれる下地となります。すると、より深いコミュニケーションが生まれる可能性が高まります。
リモートは確かに便利ではありますが、いろんな意味でコミュニケーションが薄くなってしまうことは否めません。