今すぐやることはひとつ 家計簿アプリの設定とムダな支出の切り詰め

今すぐやるべきことは「家計の見える化」と「ムダな支出の切り詰め」だ。そのためにひとつの対策を提案する。

それは家計簿アプリのインストールだ。アカウントアグリゲーション機能を有するアプリ(Zaim、マネーフォワードME、マネーツリーがその代表格)をスマホに設定し、銀行、クレジットカード、電子マネー、ECサイトのアカウントなどをひも付けておく。

そうすると、家計の実態が明らかになり始める。半分以上は自動的に記帳されるので入力の手間は紙の家計簿の半分以下になる。現金払いのレシートも、1000万画素を超えたスマホカメラで撮影すればこれまた自動読み取りして入力される。

1月分のデータがたまり、また翌月のデータがたまっていくうち、家計の値上がり傾向が浮かび上がってくるはずだ。月30万円くらいの消費支出がある世帯であれば、値上げにより月1万円以上の不足感が生じてくるだろうから、問題点をあぶり出す。

日常生活費はもちろんだが、ムダな固定費もこの機に一層したい。利用実態ゼロのサービス(例:通っていないスポーツジム会費)、重複して契約しているサービス(例:アマゾンプライムとネットフリックスなど、2つ契約している動画見放題のサブスクリプションサービス)、割高なサービス(例:ahamo、LINEMO、povo以外のスマホの格安ではない通信プラン)などを一つひとつチェックしていこう。家計簿アプリが自動記帳した費目をチェックしていくだけなのであぶり出しも簡単にできる。

固定費で月1万円以上を削ることができれば、2022年の物価上昇はなんとか乗り越えることができるだろう。

そのためにも、やはり「家計の見える化」が重要で、その一歩として家計簿アプリのインストールをおすすめしたい。中高年層の中には「ウチはずっと紙の家計簿でやりくりしてきた」と胸を張る世帯もあるだろう。だが、紙の家計簿の場合、毎日、支出の記録を自分でつけなければならず(抜け漏れが発生する)、手間暇かかる。また、書いているだけで満足してしまい、ちっともデータの振り返りをしないこともある。そうなると、家計の改善点が見えず、貯金もたまらない。

電卓とペンと手書きの家計簿
写真=iStock.com/takasuu
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2022年が「物価上昇元年」となり、今後、値上げラッシュが続くとすると、そうしたザル家計では老後生活にも暗雲が垂れ込めてしまう可能性がある。

家計管理でもうひとつ大事なのは、積立貯蓄などの中断を回避することだ。

教育資金、住宅購入資金、老後資金……将来に備えた資産形成は継続したい。物価上昇がもし続くとなれば、将来の必要額はむしろアップするはずで、積み立ての中断は確実に未来にツケを残すことになる。日用品の値上がりがつらくて、積み立てをストップしたい気持ちは分かるがここをこらえておきたい。