5年後振り返れば問題なくとも、2022年は気を引き締める

値上げ問題、短期的には生活に大きな影響を及ぼすだろう。しかし、5年くらいのスパンでみたときは、賃上げによってその多くがフォローされることになるはずだ。例えば、物価上昇が5%あっても、賃金上昇が5%以上あれば生活は支障がない理屈になるからだ。

賃上げなんて起こりっこないというのはデフレ時代のイメージだ。インフレが定常的になってくれば、賃金上昇率が物価上昇率に追随する(やや上回る)のが経済の基本である。アメリカではコーヒーショップの店員時給が1900円と報じられるが、これも物価高と連動した形だ。

新聞の見出しに「高騰」の文字が踊る
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ただし、問題はある。賃金上昇のタイミングは1年後になるということだ。収入が増えたとしても、それは1年後の話なのだ。

今年の春闘では物価上昇を先取りする賃上げを目指して、政治的な働きかけもなされているが、「今年の物価上昇」を「翌年の賃金上昇」でカバーするのが基本的な流れだ。5年あるいは10年後の経済統計をみれば、「年平均5%の物価上昇」と「年5.5%の賃金上昇」のように総括できるだろう。

しかし、個人の家計はそうはいかない。「物価上昇元年」になるかもしれない今年は、値上がりが先んじてやってくるため、これを乗り越えていかなければならないのだ。

私たち日本人は20年以上、物価上昇を体感していない。狂乱物価を記憶しているのはもはや年金世代といっていいくらいだ。

だとすると「物価上昇元年」の家計管理がきわめて重要になってくる。