企業型確定拠出年金の加入者が増えている。そんな中、転職や退職の際に手続きをせずに放置し「自動移管」されている人が100万人を突破した。経済コラムニストの大江英樹さんは「退社後6カ月以内に手続きをしないと自動移管され、60歳になってもせっかく積み立てた年金を受け取れない場合もあります」という――。
ノートパソコンと電卓を前に動揺して頭を抱える女性
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積み立てた年金がもらえない窮地

今回は年金について、せっかく積み立てたにもかかわらず、転職や退職の時に何も手続きをしないことで、そのお金が受け取れないという事態が起こってしまうという恐ろしいお話をしましょう。

年金とひとくちに言いますが、年金には「公的年金」と「私的年金」の2種類があります。このうち、注意しないといけないのは「私的年金」、中でも「確定拠出年金」と呼ばれるものです。

確定拠出年金と言えば最近ではiDeCoが注目されていますが、これは正式名称が「個人型確定拠出年金」と言われるものです。一方確定拠出年金にはもう一つ「企業型」があり、実はこちらの方が加入している人の数は4倍ぐらい多いのです。今回お話するのは、この企業型に加入しているにもかかわらず、会社を辞めたり転職したりした時に何も手続きをしないでいると、将来その年金が受け取れないことがあるばかりか損をするというお話です。

退社後の選択肢は2通り

企業型の確定拠出年金に加入している人が会社を辞めた場合、どうすれば良いかは次のステージで何をするかによって変わってきますが、ごく簡単に言えば方法は2通りしかありません。ひとつはそれまで積み立てられてきた資産を「iDeCoへ移す」、そしてもう一つは「他の企業型確定拠出年金に移す」です(実際はもう少し例外的なケースもあるのですが、ごくまれな例なので、今回は省略します)。

このうち、後者の企業型確定拠出年金に移すのは他の会社に転職して、たまたまその会社に企業型があった場合のみです。その他のケース、つまり①自営業やフリーランスになる、②結婚して専業主婦になる、③公務員になる、④無職のまま、⑤企業型確定拠出年金の無い会社へ転職する、のいずれの場合も、方法はiDeCoへ移して運用を続けるか積み立てを続けるかしかありません。