新型コロナで観光業、旅行業は大ダメージ
ワースト500社のうち、前期比ダウンは329社。業種ではサービス業が86社と多い。その中で目立つのは観光や飲食に携わる企業だ。新型コロナの感染拡大が直撃した格好である。
「スパリゾートハワイアンズ」の常磐興産(37位)やエイチ・アイ・エス(252位)、クルーズ船の予約を行うベストワンドットコム(5位)などの旅行業は、業績の落ち込みが給与に反映された形だ。
京都ホテル(41位)、ワシントンホテル(59位)などの宿泊業も同様だ。また、ペッパーフードサービス(189位)、幸楽苑HD(300位)、ワイエスフード(4位)などの外食事業も従業員の年収ダウンが目立つ。
オリエンタルランドがまさかのランクイン
「東京ディスニーリゾート」を運営するオリエンタルランドも影響を受けている。
社員の平均年収は、708万円から451万円と257万円の大幅ダウンとなった。その結果、前回はランク外だったのが今回は487位にランクイン。
同社の広報部は「コロナ禍で、冬季賞与の削減、一時帰休導入および時間外勤務の削減等などの人事施策を行った」と話す。
冬季賞与は社員が7割減、テーマパークオペレーション社員は5割減だった。グループ全体の人件費総額をみると、294億円の減額(750億円⇒456億円)となっている。
今後の見通しについては「前年度と比較して制限の緩和が見込まれることから、増収となる見込みである」(同)という。他の観光業もこれに続くことができるか。
2年連続でワースト10だった企業は…
メガネ・コンタクトレンズの小売チェーン「メガネスーパー」を運営しているビジョナリーホールディングス(6位)は、4月末決算ということもあり、新入社員78名の1カ月分の給与を含めた平均額であることを明らかにしている。新入社員を除いた平均は452万円で、順位としては478位相当である。
警備事業のトスネット(前回2位⇒3位)、インバウンド手配旅行業のHANATOUR JAPAN(前回6位⇒7位)、不動産投資のファンドクリエーショングループ(前回4位⇒8位)、百貨店の井筒屋(前回10位⇒9位)は、2年連続でワースト10に入った。
各社が「有価証券報告書」で開示する従業員平均年収については、それぞれ前提条件が異なっていたり、注意書きが付いていることも少なくない。
少人数の平均額が開示される持株会社の場合は、変動幅が大きかったりする。金額だけでなく、その他の要因のチェックも必要である。