8~14歳まで母親や継父から連日連夜壮絶DVを受けた女性は、その後に働きはじめた会社で先輩社員からレイプされ、過去の虐待の記憶によってパニック障害や過呼吸になり、リストカットや薬物の過剰摂取を繰り返した。そんな虐待サバイバーの20代女性は、幸い出会い系サイトで7歳上の心優しい男性と出会い、現在は2歳の息子がいる。大事に育てているが、「虐待と無縁の2歳息子に嫉妬する自分がいる」と心境を吐露する――。
18歳の男は彼の手のひらで身を守る
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【前編の概要】
現在20代後半の緑川由芽さん(仮名)は、8歳の頃、両親が離婚。31歳の母親は緑川さんを連れて、会社経営をする44歳の男性と事実婚関係に。やがて母親は妊娠。産後は妹ばかりを可愛がるようになり、緑川さんのことは放置。妹誕生から半年が経った頃、母親は緑川さんに関係する家事を一切しなくなる。10歳になっていた緑川さんは、洗濯も食事の用意も、自分でするしかなかった。
この頃から継父も、緑川さんに対して常に不機嫌な態度で接するようになり、機嫌を損ねると執拗に顔にシャワーをかけられる。11歳になった緑川さんは、家中の家事をやらされ、家政婦のような扱いに。中学になると、虐待はさらにエスカレートした。
彼女はなぜ虐待を受けなければならなかったのか。果たして、「家庭」という密室から脱出することはできたのか――。

担任の教師、児童相談所、警察……救いの手は届かなかった

虐待は7年続いていた。

中学3年生(14歳)の冬。母親(当時37歳)から頭をひどく殴られた翌朝、緑川由芽さん(現在20代後半)は中学校に登校するも、あまりに殴られた後が痛くて、「痛むので、保健室で冷やしたいのですが……」と担任の先生に話した。

すると担任は、緑川さんの頭のあざを見て、やさしく「行きなさい」と一言。ホームルーム後に保健室に来た先生は、「それ、ケガじゃないよね?」と真剣な面持ちで言う。それを見た緑川さんは、「母と継父(当時50歳)に殴られました」と打ち明けた。

親身に話を聞いてくれた担任は、すぐに児童相談所へ通告。同じ学年を担当している先生たちとも情報を共有し、緑川さんの体調や生活について気遣ってくれるように。