当時31歳の母親は父親と離婚し、会社経営をする男性宅に転がり込み、事実婚関係に。当時8歳(小3)だった女性(現在20代後半)は家事の全てを強制され、食事はひとり廊下で「ご飯とモヤシ炒め」のみ。妹が生まれると虐待はさらにエスカレートし、「お前なんか産まなきゃ良かった」「お前さえいなければ幸せだったのに」「この人殺し」「ブス」「クソガキ」「死ね」と暴言を浴びせられ、服を着たまま頭から浴槽に沈められた――。
母親が離婚後、愛人との子を妊娠してから虐待被害を受けた
ひきこもりの子供を「いない存在」として扱う。夫の暴力支配が近所に知られないように被害者の家族全員がひた隠しにする……。
限られた人間しか出入りしない「家庭」という密室では、しばしばタブーが生まれ、誰にも触れられないまま長い年月が過ぎるケースも少なくない。
そんな「家庭のタブー」はなぜ生じるのか。どんな家庭に生まれやすいのか。具体事例からその成り立ちを探り、発生を防ぐ方法や生じたタブーを破る術を模索したい。
今回は、母親が離婚後、愛人との子を妊娠してから虐待被害を受けた現在20代の女性の事例を紹介する。なぜ虐待を受けたのか。どのように「家庭」という密室から脱出したのか。