年末年始の帰省で久々に面会した老親の様子が「なんか変」と気づいたらどうしたらいいのか。両親の介護体験を基にした書籍もある作家の鳥居りんこさんが、親の生活の何をチェックすべきか、要介護の場合に子供は何をすべきか、良い・悪いケアマネの見分け方は何かなど、“知らずにバカを見ない”ためのテクニックを紹介する——。
高齢者
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「親がなんか変」……年末年始の帰省でココをチェック

この年末年始に帰省を計画している人は多いだろう。だが、久しぶりの家族と再会した際に、老親の変化に驚くことがあるかもしれない。「親の話し方や顔つき、体の動きがちょっとおかしい」「もしや介護が必要か」と思った時に、子供世代はどうしたらいいのか。

多くの人は何の根拠もなく「ウチの親はまだ大丈夫だろう」と思い込んでいるが、やってくるものはやってくる。筆者もかつて両親の介護を体験した。当初は、「介護保険」という仕組みをきちんと知らなかった(もっと言えば、全く興味がなかった)から、かなり大変だった。

「親がなんか変」と子が思う違和感は大きく分けて2種類。頭か、足腰だろう。

頭は、認知症の疑いだ。例えば……。

・同じことを何度も言ったり、聞いたりする。
・財布・通帳・貴金属などを盗まれたと人を疑う。
・約束の日時や場所を間違える、あるいは記憶していない。
・ささいなことで怒りっぽくなった。
・きれい好きだったのに、整理整頓が苦手になっている(冷蔵庫の中がごちゃごちゃ、トイレが汚い、など)
・お風呂に入らないなど、身だしなみを構わなくなった。
・何をするのも面倒くさがる(ゴミ出しができていない、など)

自身の経験を踏まえ、介護に関する著書を出した際、体験者に取材した。その中では認知症の初期に、お年寄り本人が「この頃、頭が変になったような気がする」と心配そうに言ってくるケースもあれば、「最近、様子が変だよ」と近所の住民の忠告で判明するケースもあった。

もう一方の違和感は、足腰である。「転倒による骨折」ということで、いきなり介護が始まることも多いが、その前にちょっとした段差でつまずく、足取りがおぼつかない、よく転ぶなどが見られるものだ。

この最初の小さな「?」は見過ごされやすいが、できれば、この時を「心積もり」の始めとして捉えておきたい。介護サービスは「自己申告制」、サンタのように向こうからは来ないシステムだ。知識だけでも、きたるべく「ある日、突然」に備えておくと介護者の心の余裕もずいぶん違ってくる。