52歳の独身キャリア女性は1年前に外貨建て保険に加入した。最初の5年間で1万2000ドル(1ドル=110円で約132万円)ずつ計6万ドル支払い、14年後の65歳で「2%の確定した利回り」で増えて返ってくるという話だったが、ファイナンシャルプランナーに確認すると……。女性はこのまま加入し続けるか、元本割れ(約30万円の損)を承知で今解約するか迷っている――。
黒い背景にビジネスマン
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生命保険へのトラブルの内訳を見てわかった重大事実

ファイナンシャルプランナーの藤原未来さんに「金融の素人」である筆者がお金に関する疑問をぶつける本シリーズですが、前回は「保険」のイロハを教えていただきました。今回のテーマは「資産運用と保険」について。

国民生活センターが2021年6月に発表した資料によると、生命保険に関する相談が多くなっています。

相談内容は、勧誘の際の説明不足、契約時の告知に関するトラブル、解約返戻金の額などでトラブルになったものが多いようです。

——銀行に勧められるままに投資信託を購入し、トラブルになるケースは本シリーズでもお伝えしましたが、保険のトラブルも多いということですね? 具体的には、どういうトラブルがありますか?

【藤原未来(ファイナンシャルプランナー、以下藤原FP)】まずは「国民生活センター」が発表している事例を見てみましょう。

「高齢の母が、被保険者が娘の私で、受取人が母という生命保険を契約していたことがわかった。そのような契約をした覚えはない。勧誘時の説明に問題があったのではないか」
「相続対策にもなると外貨建て生命保険を勧められ、外貨預金口座を開設したが、『外貨建て生命保険の契約は慎重に」との記事を見かけた。リスクのある契約なら断りたい」
「何十年も前に保険会社から解約返戻金があると言われて契約していたが、事業譲渡後の保険会社に『引き継いだ保険は掛け捨てなので返戻金はない」と言われた。どうしたらよいか」
「将来のために2、3年前から生命保険に加入しているが、説明や書面に不備があるため、解約して返金を求めたい」
「5年前に銀行の勧めで外貨建て生命保険に加入した。リスクのない契約を強く希望したが為替差損が出ている。どうしたらよいか」

いろいろな相談があるようですが、共通して言えるのは説明不足やミスリードするような話法、さらには顧客の意向をないがしろにする対応など保険を販売する側の姿勢がトラブルの原因となっているということです。

もちろん、そのような販売姿勢は許されないことですが、買う消費者側も「その気にさせられて」ついつい契約してしまうという他人任せの判断は避けるべきだと思います。