超のつく近眼に乱視、飛蚊症、角膜混濁……そして5年前に診察された白内障。そのまま放置していた作家の鳥居りんこさん(59)だが今夏、意を決して「視力検査表のCマークはすべてシャネルのマークに見える状態を脱しよう」と手術を受けた。「術中に瞳にメスが入ってくるのが見えるのでは、と恐れていましたが、きれいなオーロラが見えました」という。コロナ禍の4泊5日白内障手術体験記をお届けしよう――。
白内障を患っている目
写真=iStock.com/Zarina Lukash
※写真はイメージです

ほとんどの人が患う「白内障」の最新事情を体を張って体験

白内障は、目の水晶体が劣化して濁り、視力が低下する疾患です。

年間約95万人が治療を受ける「よくある目の病気」ですが(厚生労働省「平成29年患者調査」)、当人にとっては人生の一大事です。

今から5年前。私、54歳の秋を迎えた頃のこと。診察を終えた某眼科の医師は言いました。「白内障ですね」

「え、この見えにくさは角膜混濁のせいではないんですか?」
「それもありますけど、見えにくさの主原因は白内障です」

ド近眼の上に乱視、かつ飛蚊症持ち。コンタクトレンズ常用者の私の眼科歴は長く、おまけに40代半ばからははやり目の後遺症による角膜混濁というものにも罹患し、たびたび眼科のお世話になっていました。「いや、ちょっと待って。白内障ってお年寄りの病気なのでは」とひどく動揺したことを覚えています。

<プチ解説>白内障は早い人では40代から発症し、70代ではほぼ90%、80代になるとさらに確率が高まるといわれる。主原因は「加齢」で、今のところ予防法もない。手術では濁った水晶体を取り除く。

まあ、なってしまったものは仕方ないので、当初は初期の老人性白内障の進行抑制に効果があるとされるカリーユニ点眼液なるもので投薬・治療してもらっていましたが、症状は悪化の一途。なにせ、視力検査表のCマークはすべてシャネルのマークに見える。数字は8なのか3なのかが分からない。夜空に浮かぶ月にいたっては6個に増殖するありさまで「もう、いいや、何となく見えてれば!」と投げやりになっていたのです。

とはいえ、いくつかの眼科で診てもらうと、「ご自分が不自由に我慢できない、と思った時が白内障手術のタイミングです」と、どの先生もおっしゃることは同じ。