首都圏では5人に1人以上が中学受験するといわれるが、地方ではほとんどの小6生が地元の公立中学に進む。作家で教育アドバイザーの鳥居りんこさんは「地方で中高一貫校を受験する家庭は、周囲の好奇や嫉妬の目に晒され、『子供らしい生活を犠牲にする中学受験は虐待』と批判されることもある」という――。
合格ハチマキとおにぎり
写真=iStock.com/key05
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コロナ禍で行われた2022年度の中学受験も大きな混乱を招くことなく終えようとしている。1都3県の私立・国立中学校の受験者総数は2020、2021年度の2年連続で5万人の大台を突破。今回もその数は減らず、微増したとみられている。

首都圏(1都3県)では公立中高一貫校の受検者を加えると、ここ数年は6年生の「5人に1人以上」が中学受験に挑戦している数字になるといわれる。

もちろん、首都圏であっても地域によって“受験熱”はさまざまで、中学受験がスタンダードな地域もあれば、熱量が低い地域もある。ましてや、ほとんどの地方在住の人たちにとって中学受験はレア中のレアだろう。そこで今回、そうした地域で中学受験2022に挑んだ家庭の奮闘ぶりをレポートしよう。

【中学受験しない派多数エリアで受験する人々の悩み】

1.モチベーションキープが難しい

中学受験では、長い受験準備期間中(小学4年生からの3年間の塾通いが主流)、親子で「受験を諦めかける」シーンが訪れる。思うように成績が上がらない時に受験をしないクラスメイトが遊んでいるのを見ると、たちまち子供のモチベーションは下がる。大多数が中学受験する都心の小学校ならいいが、そうでなければ、子供らしい生活を犠牲にして親子で走り切ろうとするのは想像以上に大変だ。親も子も「何のために中学受験をするのか?」という動機付けがより一層、必要となる。

今年、関西で娘の中学受験を終了した母親A子さん(42)は、こう語る。

「同じ学年(約100人)で受験をしたのは5人だけです。娘は『塾友がいるから大丈夫』とは言っていましたが、明らかに小学校の友だちとは距離が離れていくようで、いじめに遭わないかをかなり心配しました」

受験せず、地元の公立中学に行く大多数の友だちが見て盛り上がっているドラマを見ることができず距離ができるといった悩みは、しばしば耳にする。だが、将来を見据え受験をすると誓ったのだからと、A子さんの娘のように「塾が居場所」と割り切り、同じ目標を持つ子たちとの切磋琢磨せっさたくまを優先することになる。

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