手術前夜は緊張のあまり、血圧が180を突破

【鳥居】私は日帰り手術だと、翌朝、病院にひとりで出向くことに自信がないという理由で、4泊5日で入院して両目を手術することを決断し、PCR検査をして臨んだのですが、結果的に正解でした。

とにかく恐怖でしかないので、手術前夜は血圧が180を突破して看護師さんにごめんどうをおかけしてしまい……。でも、夜間もドクターと連絡が取れる体制だったので本当に安心でした。普段は血圧が110から上がったことがないという同室の女性も160台になって驚いていたので、やはり、安全性が高いとはいえ目の手術は皆さん、動揺するんですね。励まし合う同病の仲間がいてくれて、本当によかったです。

【医師】手術はいかがでしたか?

【鳥居】手術ひと月前に尿検査と血液検査、さらに心電図検査。それを受けて手術に適合する状態かを執刀医に診断された上での手術でした。前日から点眼を開始し、当日朝から点滴用の針を入れたり、時間差で複数の点眼薬を入れたりするんですが、すべて看護師さんがやってくださるので女王様気分が味わえました(笑)。

時間になったら手術着に着替えて、医療ドラマで見るようなオペ室に入ります。その後はドクターが「瞼を固定しますね」「麻酔を目に入れますね」など、今から何を行うのかを丁寧に説明してくださるので、それを聞きながら「この光っている点を見ていて」「右を見て」などの指示に従っていましたね。

不安は不安なんですが「自由に話せますから、何かあったら、すぐに言って下さいね」というドクターの言葉も、ずっと手を握ってくださっていた看護師さんにも救われましたね。

手術時間は10分もなかったと思います。意外とアッと言う間で、術中も術後も全く痛みは感じませんでした。翌朝には眼帯を外し、翌々日には、同じように、もう片方の目を手術しました。

手術中はピンクや緑のオーロラが広がる美しい景色が見えた

【医師】術中の視界はどうでした?

【鳥居】一番、恐れていたことは、ひょっとしてメスみたいなものが見えるんじゃないか?

ということだったんですが、実際は水の中にいるようでピンクや緑のオーロラが広がっている美しい景色が見えていました。同室の患者さんたちは「万華鏡」「シャボン玉」というような表現をしていたので、いずれにしろ手術で見える世界は幻想的ということかと。

アラスカ・フェアバンクスのオーロラ
写真=iStock.com/NotYourAverageBear
※写真はイメージです

手術前は恐怖におののいていましたが、いざ本番となると医療関係者の方が心身のケアをしてくれて、最終的にこんなに見えるようになって、ありがたい限りです。あんなにビビっていた私が言うのもなんですが、今や少しでも白内障に苦しんでいる人には早めの手術をお勧めしたい気持ちです。