「2%の保証利回り」実は1%足らずの商品だった
【藤原FP】つまりこういうことです。5年間毎年積み立てをする。その後元本割れが解消されるまで2年間待たされる。そこから2%の運用が始まる。運用期間は65歳までの7年間。契約して満期が来るまでの14年間のうち半分の期間はお金を眠らせることになり、「2%の保証利回り」は後半7年間だけの話ということです。14年間にならしてみれば2%ではなく1%足らずの利回りになるということです。
【Aさん】あ、そういうことなのか。「2%の保証利回り」という魔法の言葉にかかってしまった。要するに14年間のうち前半7年間は無駄にしていることになるのですね。しかし、そもそもなんで最初の7年間は元本割れするようなことになるのでしょう。それが無駄ですよね。これはどういうことなんですか?
【藤原FP】そうですね、そこがポイントです。なぜかというと、この保険には当初2万5000ドル(275万円)の死亡保障がついているので、その「保障機能」のためのコストが保険料の一部から負担されているからです。
【Aさん】そうか、この保険は「養老保険」と書いてあるから保障機能もついているってことですか。その分だけ効率が悪くなるわけですね。そもそも自分はシングルなんだから死亡保障は必要ないんですよね。
【藤原FP】そこは大事ですね。Aさんのライフスタイルに合っていない部分が含まれている商品といえますね。Aさんにしてみれば「貯蓄機能」だけが必要で、その品質(収益性、流動性、安全性)が充実しているかどうかが重要なわけです。
【Aさん】その観点からみれば、収益性は「2%保証利回り」のカラクリ見破ったり、で実質1%足らずの利回りしかないとわかったとしても預金に比べればまだましですかね? 流動性はいつでも解約して換金はできるので問題ない。でも元本割れを避けるには7年間は換金不可。最後の安全性は、株式や投資信託のように値動きするようなリスクはないし、一応後半7年間は「2%保証利回り」が確保されるから安心かな。間違っていますか?
2%の利回りでも14年後は20万円の損失のリスクあり
【藤原FP】いや、ほぼ正解です。素晴らしい理解力です。ただし、一点だけ、「安全性」の部分はもう一つ重要なポイントが置き去りになっています。それは何かというと、「為替のリスク」です。
【Aさん】あ、それか! たしかに、説明資料もすべて米ドルの数字が書いてありますね。保険料も解約返戻金も。
【藤原FP】そうなんです。すべては米ドルが前提になっているので、将来の解約返戻金のデータも米ドルをベースに「これだけ増えますよ」という説明になっているので要注意なのです。私たちは基本的には日本円で払って日本円で受け取るのですから。
保険料を払い込む時は米ドルが安くなる、つまり「円高」になったほうがよいですね。1万2000ドルを円で支払う時には1ドル110円(132万円)よりも1ドル100円(120万円)のほうが12万円もお得なわけです。
逆に解約返戻金や保険金を受け取る時は「ドル高・円安」のほうがお得ですね。でも、為替はコントロールできるものではないので、その時々の「出たとこ勝負」になるわけです。それが「リスク」なわけです。
【Aさん】「出たとこ勝負」ですか、それは安心なんかしてられないです!
【藤原FP】そうですね。極端な例を挙げれば、5年間かけて支払う6万ドルの保険料の平均為替レートが1ドル120円で、65歳に7万ドルを受け取る時の為替レートが1ドル100円だったら、元本割れですね。
6万ドル✕120円=720万円を支払って
7万ドル✕100円=700万円を受け取る。
ということで20万円の損失です。