保険商品へのクレームの多くは「貯蓄機能」に関して
——私たち素人をはぐらかすような営業姿勢はいかがなものかと思います。でも、確かに自分たちもしっかりしないといけないというのはおっしゃる通りで耳が痛いです。どうやって防げばよいでしょうか?
【藤原FP】では、まず前回の復習です。そもそも生命保険には「保障機能」と「貯蓄機能」の二つがあります。二つのうち「保障機能」が保険商品のメインで、万一、不測の事態が生じた時の「大きな困った」に対処するための便利な道具が保険なのです。そのために「掛け捨て」の保険料を払って備えるわけです。保険料は「安心料」ということですから、安ければ安いほどよいですね。
——そうでした。「大きな困りごと」に備えるのが保険の役割でした。保険に頼らないと生活ができなくなるケースはありますものね。
【藤原FP】一方の「貯蓄機能」ですが、実はこちらが「厄介者」なのです。さきほど並べられた「国民生活センター」が発表しているトラブル事例をもう一度読み直してみると、ほとんどが「貯蓄機能」についてのトラブルでした。
・解約返戻金が想定より少なかった
・リスクのある外貨建て生命保険を勧められた
・解約返戻金があると言われて契約したのに実際は掛け捨てだった
・リスクのない契約を強く希望したが為替差損が出ている
「保障機能」を主目的とした定期保険などは掛け捨てなので、そもそも「解約返戻金」はないし、満期を迎えても「満期保険金」や「生存給付金」がもらえるものでもないのです。
死亡したら「死亡保険金」、入院したら「入院給付金」、ガンになったら「診断一時金」などが給付されますが、そのような保険事故が起きずに保険期間が満了したら給付はないわけです。
皆さんはそれを承知の上で契約しているし、死亡したのに約束された保険金が払われないということはまず起きないので、「保障機能」型の保険でのトラブルは少ないのは理解できると思います。
——たしかに死亡保険金をめぐるトラブルはあまり聞かないですね。保険金目当ての殺人事件はたまにニュースになりますが、それはまた別の問題ですからね。
【藤原FP】それに対して「貯蓄機能」型の保険商品は「それは話が違う!」ということになりやすい。なぜかというと保険料として支払ったお金(=元本)がそれ以上になって戻ってくることを期待しているからです。支払ったお金よりも戻ってくるお金が少ないということは「元本割れ」するということで、お金を増やすために始めたのにまったく意味がない、意味がないどころか損する話になるわけで、「冗談じゃない!」というのも当然です。