卒業式前日に逃亡し、いったん実父の家へ避難するもパパ活開始

中学の卒業式の前日。緑川さんは母親と継父、妹のいる家へ帰宅することはなかった。

担任の先生の協力により、実の父親のもとへ逃げ出すことに成功したのだ。母親が親権を移したことにより、中学校へは実の父親の連絡先や住所が伝えられていた。警察も児童相談所も助けてくれない現実に絶望した緑川さんが、担任に助けを求めたため、実の父親に連絡。事情を聞いた父親も受け入れてくれたので、即日逃げ込むことになったわけだ。

警察官
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それを知った母親は、慌てた様子で父親に連絡をしてきたが、緑川さんが「絶対に帰らない!」と言い、親権は実の父親にあるため、どうすることもできなかった。

実の父親は女性と暮らしていた。緑川さんと再会すると、「久しぶり! あいつやっぱりおかしいよな。リビングだけど置いてやるよ」と軽い調子で言った。

緑川さんは夜間高校に入学し、昼間はアルバイトを始めた。父親も女性も、家で食事をすることがほぼなく、めったに顔を合わせることはない。誰からも干渉されず、特に不快なこともないため、母親と継父との暮らしと比べたら、天国のようだった。

父親からは、「お金を貯めたら、一人暮らしをしろよ」と言われていたため、緑川さんは貯金に励み、1年後には一人暮らしを開始。父親の家を出てからも、父親は時々食事や旅行に連れて行ってくれた。だが、アルバイトだけでは家賃や生活費、学費が賄えないことも。そんなときは、いわゆる「パパ活」をして不足を補った。

「パパ活は、不定期に2年くらい、月に5万円前後、トータル60万円くらい稼ぎました。相手によってはお金でなく、食事や泊めてもらうといったことをお願いしていましたが、性交渉は一切ありませんでした」

逃亡から約1年後、祖母から曾祖母が亡くなったことを聞かされ、葬儀へ参列するため、母親と継父と再会。その際、緑川さんが使っていた部屋を片付けるように言われ、約1年振りに母親と継父と妹と暮らしていた家へ。不要な物は捨て、必要な物は持ち帰った。

母親や継父からは、もちろん謝罪はなく、「お前がいなくなってから妹が寂しがって、少し精神的に不安定になった」と小言を言われた。

その後、継父とは別に、母親が外に作った彼氏と遊びに行くときに妹を預かったり、母親に誘われるまま一緒に出かけたりする関係が始まった。