「従軍慰安婦問題」と「徴用工問題」について韓国が国際法を無視した形で蒸し返し、日韓関係は戦後最悪と言われる。その韓国では3月9日に大統領選がある。与党と、最大野党の候補がともに醜聞続きで、1月に入り泡沫候補とみられていた別の野党代表が支持を拡大。選挙の行方は不透明だ。国際エコノミストの今井澂さんは「韓国のネックは、出生率が2000年1.47から2020年0.84へ低下していること。急激な少子化が経済を悪化させる」という――。

※本稿は、今井 澂『2022 日本のゆくえ』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

韓国の国旗と乳幼児
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「戦後最悪」の日韓関係は、3月に誕生する新大統領で変わるのか

2017年5月に文在寅政権が発足して、「従軍慰安婦問題」と「徴用工問題」について国際法を無視した形で蒸し返したために日韓関係は戦後最悪になっています。

従軍慰安婦問題では、日韓の外相が2015年12月18日に共同記者会見を開いて、「慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」という日韓合意を発表しました。

徴用工問題は、日本と韓国が1965年の国交正常化時に日韓基本条約とともに結んだ日韓請求権協定において、「(徴用工の請求権問題は)完全かつ最終的に解決された」と明記されました。

ところが、文在寅大統領は2017年8月15日の光復節の式典で、日本統治下での従軍慰安婦と徴用工の問題を解決するために「被害者の名誉回復と補償、真相究明と再発防止の約束という原則を必ず守る」とし、「日本の指導者の勇気ある姿勢が必要だ」と述べたのです。

さらに、文在寅大統領は就任100日を迎えた8月17日の記者会見で徴用工について、日韓請求権協定では韓国人の個人請求権は消滅していないという見解を歴代政権で初めて示したのでした。

いずれも決着の付いた問題なので、日本側から解決案を出すという筋合いもないことから、安倍政権も菅政権も文在寅政権を相手にせず、日韓関係はどんどん冷えていったわけです。

岸田政権にも文在寅政権との間で関係改善をしようという動きはまったく見られません。そもそも2015年の日韓慰安婦合意文に署名したのは、当時外相だった岸田首相でした。

2022年3月の韓国の大統領選で新しい大統領が選ばれるまで日韓関係は悪化したまま何も変わらないでしょう。