東京五輪は海外でどのように報道されたのか。韓国生まれの作家・シンシアリーさんは「韓国のマスコミはこぞって日本を非難した。例えば、開会式でMISIAさんが歌った君が代に対して猛攻撃を浴びせた」という――。

※本稿は、シンシアリー『文在寅政権 最後の暴走』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

日韓の国旗
写真=iStock.com/Barks_japan
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嫌韓を拡大させた、いくつかの案件

個人的に、韓国の日本に対する感情的スタンスは、明らかに「反日(ほぼ無条件で「反」のスタンスを取る)」だと見ています。でも、日本の韓国に対するそれは、「嫌韓」とは思えません(「嫌」とは意味が違う)。どちらかというと、関わりたくないというか、話が通じないときのイライラさというか、そんな感覚に似ています。

嫌いというのもある程度の積極さが必要なので、どうも嫌韓という単語はしっくりきません。そう、私は嫌韓という単語があまり好きではありませんが、だからといって他に代用できる単語があるわけでもないし、いつのまにか有名になったこともあって、以下、「嫌韓」という単語を借用するとします。

日韓関係において、嫌韓を拡大するいくつかの重大な案件がありました。一部を深く調べることも大事ですが、やはり重要なのは「拡大」です。韓国の反日思想に強い関心を持っていない方々に、「あ、あれ確かにおかしいな」と思わせる、いわば嫌韓を拡大させる、いくつかの案件がありました。

有名なのが二〇〇二年ワールドカップで、インターネットの普及と相まって、韓国社会が日本に対して抱いている論拠なき悪感情が、日本の皆さんに知られるようになりました。それからも、李明博大統領の天皇陛下(現在の上皇陛下)侮辱発言および竹島上陸、拉致被害者問題への非協力的な態度、旧朝鮮半島出身労働者や慰安婦個人賠償問題および日本企業の資産に対する差し押さえなど、いつもは韓国に対して融和的な態度を取るマスコミすらも「これはおかしい」と報道せざるを得ない案件が、いくつかありました。

東京オリンピックでも反日が露呈した

これも個人的な意見ではありますが、私は、今回の二〇二〇東京オリンピックもまた、そんな「拡大」案件になったのではないかと見ています。日本人は、喧嘩においても、「結果で勝ったとしても、越えてはならない線を越えると、負けになる」と思います。必要以上に相手を傷つけてしまうと、基本的な尊厳までをも踏みにじってしまうと、勝ったとしても、負けた気持ちになると言います。

韓国は違います。結果で負けても、相手を傷つけた分、それこそが勝ちだと思います。越えてはならない線を越えてこそ、相手を完全に支配できると思い込み、徹底的に踏みにじります。

今回、東京オリンピックでの韓国側の反日報道は、明らかに前より強く、一線を越えるものばかりでした。これまでは「国際競技では仕方ない」としていた、日本の国歌「君が代」に関する非難も、その一つです。