仕事のトラブルや病気などに見舞われた時に生じる“負の感情”にどう向き合えばいいのか。作家の松尾一也さんは、「(ネガティブな事象でも)リフレーミングして見方や視点を変えることで心が平安になり、見える世界の景色を変えることもできます。また、絶望で押しつぶされてしまう状況でも、一筋の光を見つめながら希望の中で強く生きようとする姿勢は人々に大きな勇気を与えます」という――。

※本稿は、松尾一也『50代から実る人、枯れる人』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

太陽に手を伸ばす人
写真=iStock.com/baona
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80歳くらいの最終的な着地点にそう大きな差はない

実る人=人生は周回遅れでもなんとかなる
枯れる人=焦ってレースをあきらめてしまう

50代にもなると、自分が人よりかなり置いて行かれていると感じる局面が増えてきます。

あの人と自分では評価がこんなにも違うのか。収入もかなり違う。住んでいるところもこれほど違う……。いわゆる周回遅れの状態です。焦る気持ちもわかります。そんな思いにとらわれた時は、深呼吸をしながら、アメリカの神学者ニーバーが作ったとされる「ニーバーの祈り」の言葉をたどってみましょう。

「神よ、変えることの出来ない事柄については、
それをそのまま受け入れる平静さを、
変えることの出来る事柄については、それを変える勇気を、
そして、この二つの違いを見定める叡智を、私にお与えください」

私達はつい自分で変えられることを放置して、実際は変えられない社会システムや他人の評価に絶望して人生レースを降りてしまいます。そろそろ自分の力で変えられるものと、変えられないものの区別ができる大人になりたいものです。

面白いことに、長~い目で見ると、学歴がスゴイ人、大手企業にいる人、デカイ家に住んでいる人、すごく本が売れた人、巨万の富を得ている人、それぞれ80歳くらいの最終的な着地点にそう大きな差はないようです。

私が仕事をご一緒した著名な講師も、晩年はみんな「チョボチョボ(失礼)」という印象です。焦らず、威張らず、腐らず、一歩一歩、前進していきましょう。