※本稿は、中島輝『あなたは、もう大丈夫。「幸せスイッチ」が入る77の言葉』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
生きづらいコロナ禍は大戦後に似ている
いま、ふだんの生活を送るなかでふと生きづらさを感じたり、自分に自信を持てなくなったりする人が増えています。
これまで自分が描いてきた夢や目標を見失いがちになり、コロナ禍を経て人生の歯車が狂ってしまった人もいると思います。
「これからどのように新しい人生を歩んでいけばいいのだろう?」
そう考えてはみるものの、この先どんな選択をするのが正解なのかもわからない。
そんな漠然とした不安のなかで、「自分にはたいした才能も価値もないんじゃないか」と、ネガティブな感情にとらわれてしまう人もいるかもしれません。
しかし、生きる困難と将来への不安が増しているいまのような時代は、人類がはじめて経験するものではありません。歴史を振り返れば、それこそ疫病をはじめ戦争や飢餓など、人類は数多くの苦しみを経験してきました。
わたしはこれまで、「自己肯定感」について独自の視点から研究と臨床経験を積み重ね、多くの人にカウンセリングを行ったり、講師としての活動を行ったりしてきました。
そんなわたしが大きな影響を受けたのが、オーストリアの精神科医であるヴィクトール・フランクルが提唱した「フランクル心理学」です。
そしてわたしは、いまという時代は、フランクルが自らの心理学を打ち立てた時期、つまり第二次世界大戦という衝撃的な出来事を経たあとの状況ととても似ているのではないかと考えています。
フランクルは大戦中に強制収容所に送られた経験を持ちますが、この時期は同じように過酷な運命にもてあそばれた人たちが世界中にたくさんいました。
いま、コロナ禍で多くの人が打撃を受け、振り回されているこの状況は、ある意味では第二次世界大戦後の状況と似ている面があると感じているのです。
実際に、生活の基盤である雇用や就業に大きな影響があり、若者や女性を中心に自殺者も増加しています。
人が生きていくための、まさに“土台”が脅かされているのです。
生活のなかで感じる不安が増しているためか、わたし個人の感覚でも、カウンセリングを依頼される人たちにはうつ傾向にある人が多く、「ネガティブな感情に覆われている」ような人が急激に増えていると感じています。