積極的な自分に変わる最後の挑戦はナンパである。指導をしてくれる草加大介さんはナンパ塾の草分け的な存在だ。
「人付き合いは“ある程度”悪くないとダメです。女の子に『寒くない?』って優しくするのは、相手に気に入られたいという下心があるからでしょ? それがいけないことだと思ってしまうと、積極的に行動できなくなる」
1時間ほどレクチャーを受けた後、ナンパ実践編に突入した。目標は見ず知らずの女性と2人でお茶をすることだ。
「落ち着いて。平常心が大事です。まず相手に斜め後ろから近づき『どう、調子は?』と声をかけましょう。タイミングと距離感がよければ、意外と話を聞いてもらえます。そうしたら、自分が何者で、なぜ新宿にいてあなたに声をかけたかを簡潔に説明し、相手の名前、年齢、職業を聞き出します。できれば相手のよいところを見付けてほめてください」
女性を探し続けて目が痛く……
ちなみに僕がナンパをしたことは、生まれてこの方一度もない。自分で出した企画だが、いざ街に出るとかなりビビってきた。それでも1人目、草加さんが「あの娘、行ってみよう」と指示した女性に駆け寄り、声をかけた。
「ちょ、調子はどうですか……」
思わず敬語になってしまった。相手の女性はこちらをちらりと見ただけで、さっさと行ってしまった。2人目も、けんもほろろの扱いだ。それでもめげずに声をかける。すると、3人目の女性の反応がとてもいい。笑顔で僕の話を聞いてくれるのだ。ぜひ一緒にお茶を、と誘ったのだが、結局「この後、約束があるの」と振られてしまった。惜しい!
「内林さん、きっといけますよ!」
草加さんも元気づけてくれた。僕はだんだんナンパに抵抗がなくなり、次々に声をかけていった。つれない人もいるが、笑顔で応じる人もいる。ただ、なかなか足を止めてもらえない。