中国には年間売上が5000億円を超えるインフルエンサーがいる。マーケッター/プランナーの藤井直毅さんは「ライブコマースの女王と呼ばれている薇婭は、多いときで4000万人の視聴者を集めている。8億円のロケットを販売したこともあり、売上規模はフジテレビ以上だ」という――。(第1回)
※本稿は、藤井直毅『新消費 デジタルが実現する新時代の価値創造』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
誰もが知る人2人のカリスマ販売員KOL
ここから紹介するのは、中国の若者なら誰でも知っている、2人のカリスマ販売員KOL(*1)だ。
時系列で有名になった順番に紹介していく。まず、いわゆる一般的なECで成功したモデル出身の張大奕、ライブコマースの女王・薇婭は、それぞれ少しずつ活躍の時期や場所が異なり、成功の方法論も違う反面、カリスマであるからこその共通の悩みも抱える。それらを比較することを通してKOLとECの関係を見ていただければと思う。
最初に登場する張大奕は、ライブコマースより前、図文電商(写真と文章を使った伝統的なEC)から生まれたスターだ。2009年頃から雑誌や淘宝ショップのモデルを務めていた彼女は、そのビジネスパートナーのひとりに誘われ、2014年7月に自らも投資したブランドを立ち上げる。
翌2015年の双11セールでオープン1年という短期間にもかかわらず1億元(≒18億円)の売上をあげ、彼女自身も2015年の中国KOLランキングの9位に選ばれた。翌2016年の双11では、女性ファッション分野の売上トップ10にも入った。
(*1)Key Opinion Leader の略称で「多くの人に影響力を与える人」、日本では「インフルエンサー」と呼ばれる存在とほぼ同じだ。