Q5.TPP参加後、働き方、暮らし方はどう変わるか?

現在、日本を含めTPPに交渉参加を表明した国の経済規模は、世界のGDPの約4割を占めます。言うまでもなく、これは世界最大の経済連携協定です。

TPPによって貿易が活性化すれば経済が上向きます。そうなると、企業が設備投資や企業買収などに動き、必然的に雇用が増えます。失業率は改善され、労働者の給料も増えます。

生活面の影響ということでは、食品の値段が少し下がるくらいでしょう。食料品以外の輸入品に対する関税は現在でもそれほど高くありませんので、関税が撤廃されても極端に安くはなりません。TPPによってデフレが促進されるという人がいますが、私はそうは思いません。

TPPで議論されているわけではありませんが、大きく変貌する余地があるのが医療分野です。保険で認められる医療に、保険外の高度医療をプラスできる混合診療について検討すべきでしょう。癌などの難病に苦しむ患者にとっては大きな朗報です。これは繰り返しますが、国民皆保険制度とも十分両立します。

市場を閉鎖して経済発展をした国は歴史的にありません。しかし、TPPに参加したからといってすぐに効果が表れるわけではない。長期的な視点で日本の未来を考えていくことが重要です。

※すべて雑誌掲載当時

(荻野進介=構成 澁谷高晴=撮影)