友人から「お金を貸してほしい」と言われたとき、どうすればいいか。銀座の高級クラブ「クラブ由美」のオーナー・伊藤由美さんは「5000円や1万円でも、絶対に貸してはいけない。それはお金も友人も失うことになる」という——。(第2回)

※本稿は、伊藤由美『できる大人は、男も女も断わり上手』(ワニブックスPLUS新書)の一部を再編集したものです。

紙幣を持っている2人
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借金を申し込まれても「一切貸さない」と決めている

これまでの人生で私が人に貸し、そして“返してもらえなかった”お金はかなりの金額に上ります。

もちろん一度だけではありません。銀座に店を持って39年。その間にいろいろな人から借金を頼まれ、断われずに都合して、でもそれっきり——という長年の積み重ねの結果、合計したらかなりの額になるということです。

当時の私も「断われない人」だったということです。それまでいいおつき合いをしてきたつもりだった人に、藁をもつかむといった形相ぎょうそうで「ほかに頼れる人がいない」「借りられなければ死ぬしかない」なんて言われたら、つい気の毒になってしまって。でも結局、そのほとんどは返してもらえませんでした。

もちろん連絡も取れなくなって、それまでのおつき合いもすべて終了になる。当然ですよね。

この原稿を書いていて、今さらながら「あの頃の私は、なんというお人好しだったんだろう」と自分にあきれています。だからこそ今は、借金を申し込まれても「一切貸さない」と決めています。

どんなに気の毒だと思っても、心を鬼にして断わると。金額が多い少ないは関係ありません。ただただ、周囲の人との間に「お金の貸し借り」というバイアスを挟みたくない。親しい人ならばなおさらです。だから貸さない。もちろん私も借りません。それは、さんざん騙され、高い授業料を払い、友人や知人をなくして——そんな苦い経験から得た“リアルな教訓”なんです。