貸せなくもない金額がもっとも断りにくい
「知り合いにお金は貸さない」というスタンスを決めたのならば、こういうときこそ“ウソも方便”です。それでもまだ食い下がるようなら、その人は、「あなたが苦しいのをガマンして、こちらに貸せ」と言っているのと同じです。こちらへの誠意や気遣いのない人に貸す義理はないと思えばいい。
そこまで自分のことしか見えなくなっている人に貸したところで、返ってくる可能性は限りなく低いでしょう。借金の申し出は「状況は察するけれど、ないものは貸せない」と、自分の窮状を理由にしてきっぱり断わるのがいちばんいい方法なのです。
何十万円というレベルの大金を貸してくれというのはそうそうあるわけでもなく、もし頼まれても「そんな大金、貸せない」と開き直ることもできるでしょう。また、「自動販売機でジュースを買いたいけど小銭がない。100円貸して」程度なら、あまり頻繁でなければ人間関係がどうこうという事態にはなりにくいもの。
もっとも断わりにくいのが5000円、1万円といった、普段から財布のなかに入っていて「貸して」と言われれば都合できないこともない、という金額の場合です。
この本を書くにあたって、いろいろと周囲の人にも聞いてみたのですが、ある出版社の編集者の方は、以前、割とお金にルーズな同僚に「急な飲み会で持ち合わせがないから1万円貸してくれないか」と頼まれたそうです。そのときは、
と断わったそうです。「さすがに『じゃあ、奥さんに聞いてくれ』とは言わなかったね。それ以来、ボクのところには借りに来なくなった」と。「今、自分の自由になるお金がない」というのも断わり方のひとつでしょう。
「お金の管理は主人がしているから」「ウチの女房がキッチリしていて」という感じです。
「オウム返しで切り返す」ことでキッパリ断れる
また、「相手の言うことをオウム返しで切り返す」というのは知り合いのOLの女の子に聞いた断わり方です。例えば、
スマホ料金、引き落とせなくて。——私もお金なくて払えてないの。ごめんね。
など、「自分もあなたと同じ状況でお金が必要だから貸せない。わかってね」と伝えるのだとか。これらにしても、結局のところは「自分も、他人に貸すほど持っていない」ことを伝えて断わるということです。
「持ち合わせがない」「すぐ返すから」などと人からお金を借りることに抵抗のない人、何とも思わない人、クセになっている人、いますよね。財布にないだけなら銀行ATMに行けばいいし(今は24時間引き出せるところもありますし)、すぐ返せるならキャッシングという手段もあります。
今の時代、1週間くらいなら無利子で借りられるカードローンだってあるでしょう。あなたに借りずとも、いくらでも方法はあるのです。友だちとの関係を考えたら、少額で短期間のお金ほど、「人に借りる」のは最後の手段であるべきなんですね。
自分がないのだから人にも貸せない。だから事情はわかるけど断わる。お断わりの理由の裏にある、こちら側の迷いや苦悩、葛藤に思いが至らずに、「ケチ」「冷たいな」などと言うような相手なら、貸すだけ損、悩むだけムダ。
きっぱり断わって、「近くにATMがあるよ」「カードローンもあるじゃない」と教えてあげればいいんです。