※本稿は、池田渓『東大なんか入らなきゃよかった 誰も教えてくれなかった不都合な話』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
本当に地頭がいい「天才型」は東大生全体の1割
東大生の能力のばらつき具合いについて、もう少し詳しく説明しよう。彼らは大きく3種類に分けられる。
第1のタイプは、本当に地頭がいい「天才型」。
この人たちは、集中力と頭の回転が桁外れで、なにをやっても圧倒的にスピードが速い。世間が抱く「頭脳明晰な東大生」というイメージの元になっているのがこのタイプだ。
天才型は勉強でも仕事でも、なんでも普通の人の半分の時間で完璧にこなしてしまう。
そして、余った半分の時間を、遊びを含めた自己の研さんにあてるものだから、まわりとの能力差は並大抵のことでは縮まらない。逆に、時間経過とともに差はさらに広がっていく。
このタイプは学生生活を終えた後、総合職試験を難なくパスしてキャリア官僚になったり、在学中に司法試験に合格して司法エリートになったり、研究者として海外の大学に招へいされたりするものが多い。最近では、ベンチャー企業を立ち上げるものも増えてきている。
感覚的には東大生全体の1割かそれ以下で、それほど数がいるわけではない。
ただ、教養課程(東大に入学したすべての学生は、まず教養課程に入り、1・2年生時は、特定の学問領域に偏らず、社会・人文・自然を幅広く学ぶ)で理二と理三の混成クラスに所属していた僕の印象では、理三の学生には天才型が多いように思う。
東大の理三は偏差値72.5の日本最難関だ。ここに所属できる学生は一学年に100人もいない。ほぼすべての学生がやがては医学部医学科に進学するのだが、同学年の東大生3000人中のトップ100人の頭脳は、さすがに化け物じみている。
安田講堂と並び、東大の象徴とされるものに「赤門」がある。
テレビ番組が東大生にインタビューをする際にカメラを回す場所として重宝されているが、この赤門とは別に東大本郷キャンパスの裏手、東京大学医学部附属病院の傍らには鉄製の小さい門があり、これをして東大医学部は「鉄門」とも呼ばれている。