勉強不足をあぶり出す見事な質問
入社試験を受けに来るくらいですから、コピーを書くのが好きなのはわかっていますので、「具体的にどんなコピーをいい(悪い)と捉えているのか」を、「たとえ」として挙げてもらうことで、その人がどんなセンスの持ち主であるかを推し量ろうというわけです。
しかも、ひとつや2つでは少なすぎます。10や20の具体例をパッと出せないようでは、普段から世の中のコピーにあまり触れておらず、ひいてはコピーライターとして勉強不足ということにもなります。見事な問題だと思います。
「ベスト3方式」で「たとえ力」を磨く
これは、一般の企業や団体などでも応用することができるでしょう。「これまで感銘を受けた本をいくつか挙げてください」というお題に対して、返ってきたリストを見れば、その人がどんなレベルで読書をしてきたかがおおよそわかります。
本をまったく読んでいない人であれば、おそらく一冊も名前が出てこないのではないでしょうか。また、読んでいたとしても、たとえばサブカルチャー的な本しか知らないというようなことになると「この人は軽い読書しかできない人」と判断されてしまうでしょう。
この判定方法については、私は「ベスト3方式」というのをおすすめしています。たとえば、ユーチューブに精通している人に、「好きなコンテンツを3つ」とお願いし、興味深いコンテンツを瞬時に3つ答えられる人は、「ユーチューブ偏差値」が高い人といえるでしょう。ひとつも答えられないという人は、普段から頭の中で情報が整理されていない人です。そういう人は、概して話すことも一般論に偏りがちで、具体的な説明が苦手です。
頭のいい人は考えが常に具体的で、会議でも「こんな案はどうでしょう」と「たとえ」を提案できますから、それをたたき台にして会議もスムーズに進みます。
「たとえ」とは「具体的」なもの、すなわち「アイデア」ということなのです。