震災、電力不足、円高と、企業には逆風が吹いている。現状では多くの業種において業績アップを目指すのは困難な状況だろう。長期的にも少子高齢化という重石があり、低成長時代が続くことに異論を唱える人は少ないはずだ。
このような状況下で業績アップを図るにはどうすればいいのだろうか。低成長時代における成長のための第一の選択肢は「原価管理」である。
経営者の中には、「そんなことは承知しているし、原価管理の本を何冊も読んだ」という方も多いはず。しかし、有効な原価管理の方法は会社の規模によって異なり、どの会社にも本に書かれた原価管理のノウハウが適しているわけではない。すべての業種、すべての事業規模に通用する理論、唯一絶対の経営法則はないのである。
たとえば、売上高2億円以下の小規模な会社は経営者の目が社内全体に届きやすく、感覚を研ぎ澄ますことでムダに気付くことができる。経営者が目をこらし、身の回りのムダを削るだけで十分コストダウンを図ることが可能なのだ。
もちろんムダは徹底的に削減すべきだが、この規模の会社だとその効果はたかが知れている。だから、そこにはパワーをかけず、新規顧客の開拓などに力を入れるべきなのだ。
対して売上高10億円を超える規模の会社になると、経営者の目が届く範囲は限られる。その分、マネジメントの必要性が高まるし、原価管理を徹底することでムダを省いて利益のアップにつなげやすくなる。
では、どのような方法で原価を管理し、コストをカットすればいいのか。そこで出てくるのが、管理会計の考え方だ。管理会計は、業績について検討するための資料をまとめ、経営者が日常業務のプロセスや仕組みの変革をもたらす意思決定に役立てるのが目的である。