ビジネスにおいて先見性や先行性が重要なのは当然のこと。そこで、すぐに売り上げアップにつながる顧客に直接顔を向けた「マーケティング型の改革」を試みる会社は少なくない。繁華街でよく見かける居酒屋の呼び込みはその一例だ。

しかし、情報社会においては、先行性のある取り組みをしてもすぐに追随される。居酒屋の呼び込みも、どこかのコンサルタントが提案したもので、効果があるとわかると、同業者がすぐに真似し始めた。その結果、集客効果は薄まる一方のようだ。

そこでぜひ考えたいのが、会社組織の中にいる人材に目を向けた「マネジメント型の改革」である。一言でいうと、現場の人間の行動を変えることで、一人ひとりの「時間当たりの生産性」をアップさせていく取り組みだ。

まず、経営者や管理職に頭の中に叩き込んでおいてほしい数字がある。それは社員の「時給」だ。設備投資など大きなコストに目を向けることがあっても、意外とこのコストは見落としがちで、会計士として以前から気になって仕方がなかった。

なぜなら、年間労働時間を1800時間と仮定して時給を計算すると、年収600万円の人なら1時間3333円、年収400万円では2222円となるからだ。年収600万円の社員が5人集まって1時間ほど会議を行い、何も決められなかったら「3333×5」で1万6665円の利益がふっ飛ぶ計算だ。

大切な自給コストの感覚

大切な自給コストの感覚

つまり、社員の時間当たり生産性は、少なくても時給に見合ったものでなくてはならず、さらに業績をアップさせようと思ったら、その水準を上回るようにしなくてはならない。そのように導いていくことがマネジメント型の改革であり、その担い手が現場のリーダーなのだ。

実際に時間当たりの生産性を高めるため、リーダーには何が必要かというと、具体的な行動指針を与え、その結果を的確に評価しながら、モチベーションを維持・向上させていくことだ。