経営者やビジネスマンなら、日本経済新聞は必読紙だろう。会計士である私も、関与先の会社の動向や、景気の先行きを分析するため毎日目を通している。そのなかで私独自の読み方をつくり上げてきたのだが、今回はそれを紹介したい。
一面には、日本経済全体に関わる最重要テーマが取り上げられている。経済面ではマクロ経済の動向、財政・金融のトピック、国際面では海外政治・経済の重要テーマを知ることができる。ここまではマクロの中・長期的な話題がメーンである。
対してミクロ(短期的)の情報なのが、企業、投資・財務、マーケット面だ。企業面では企業の動向や経営戦略、業界に関する記事が掲載されており、自分の業界や取引先、関心のある会社の話題は要チェックだ。
そうした個々の記事を読む際に私が心がけているのが、「それぞれのニュースがどんな長期トレンドに基づいたものなのか」「また短期的にどんな影響が生じそうか」など、ニュースの関連性を意識しながら先読みに結びつけていることである。
たとえば、長期の話題として法人税の引き下げの扱いといった構造的な問題のトピックがある。すると、企業面で取り上げられている海外進出は、諸外国に比べて高い法人税を避けるために選択された中期的な事業戦略ととらえることができる。さらには、海外進出にともなう現地企業のM&A(買収・合併)といった短期戦略の話題が存在していることがわかってくる。
そうやっていくと、普段の仕事にも役立つようになる。ビジネスの現場で何か課題が浮上しても、「すぐに取り組むべきものか」「長期的スパンで考えるべきものか」など、優先順位がつけられるようになるのだ。
また、ビジネスに直結するデータがおさえられて便利なのが、毎週月曜の朝刊に掲載されている「景気指標」だ。GDP(国内総生産)、失業率、現金給与総額など、50種類前後の時系列データが網羅されている。
そして、1、4、7、10月の月初めに掲載される「産業天気図予測」はご存じだろうか。主要30業種の3カ月間の業績展望を天気図で表したもので、「晴れ」「薄日」「曇り」「小雨」「雨」の5段階で表示されていて、とてもわかりやすい。