役員報酬の金額を業績に連動させ、その算定方法を開示する動きが広がっているという。そもそも一般社員の給料と役員報酬ではどのような違いがあるのだろうか。まずはそこから整理しておこう。
一般社員は会社と雇用関係にあり、会社と労働契約を結んでいる。対して役員は会社から経営を委任されるという関係にある。一般社員が受け取るのは給料、賞与であるのに対し、役員が受け取るのは「委任報酬」という位置づけになっている。
また、社員から役員になる際には、会社をいったん辞めて(雇用契約を解除して)退職金を受け取り、会社と新たに委任契約を結ぶことになる。役員になれば労働組合には入れないし、労災保険や雇用保険にも加入できない、という違いもある。
では、給料と役員報酬の会計上の扱いはどんな違いがあるのだろうか。製造販売を手がけるメーカーを例に見ていこう。
メーカーの機能は「全般管理機能(本社)」「製造機能(工場)」「販売機能(店舗)」に分けられる。損益計算書(P/L)には、費用として売上原価、販売費、一般管理費が記載され、売上高からこれらの費用を引いた額が「営業利益」となる。
費用のうち、売上原価には工場で生じる材料費、労務費、経費などが含まれ、P/Lの「製造原価明細書」という別表に明細が記載される。製造に携わる社員の賃金は労務費、販売に携わる社員の賃金は販売費に算入される。
本社機能で生じる費用は一般管理費で、役員報酬は管理機能(本社)において発生するコストとして、本社に勤務する社員の賃金とともにこの項目に含められる。自分の会社の役員の報酬額を知りたければ、一般管理費の明細を見ればわかるわけだ。