※本稿は、市川 雄一郎『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。
トヨタですら時価総額で世界50位圏内
日本にも「誰もが知っている大企業」はたくさんあります。日本企業の4番打者は、時価総額日本一を誇るトヨタ自動車でしょう。世界の自動車市場で常にトップシェアを争っている同社は、日本を代表するグローバルカンパニーと言えます。
ところが、そんなトヨタ自動車ですら、世界企業の時価総額ランキングではやっと50位以内に入るくらい。いろいろなところで発表されるトップ50社を見ても、トヨタ以外の日本の大企業は影も形もありません。
日本企業の時価総額が小さい理由は、ひと言で言えば、グローバル化とデジタル化に大きく出遅れたからです。多くの日本の大企業は国内マーケットで大きなシェアを獲得しても、それを世界のマーケットに広げることができていません。
例えば、NTTドコモは世界で初めて携帯電話用のインターネット接続サービス「iモード」を実用化しながら、うまくグローバルスタンダード(国際標準)にすることができず、スマートフォン(スマホ)の登場で“ガラパゴス化”してしまいました。ソニーも世界初の携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」を大ヒットさせたものの、デジタル音楽配信サービスを武器に売り出したアップルの「iPod」にあっさり王座を明け渡しました。
最近では、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で同様の現象が起きています。日本国内ではLINEが1億人に迫るユーザー数を誇っていますが、全世界で見ると、フェイスブック(Facebook)の25分の1程度に過ぎず、SNSのトップ7にも入っていません。日本国内は支配できても、世界を取れるところまでは成長できていない。それが日本の大企業の現実なのです。