上がる株の4つの条件

では、新興ベンチャー株は、具体的にどのように銘柄を選ぶといいのでしょうか。

過去の株価の膨大なデータを分析すると、「上がる株」にはいくつかの条件があることがわかっています。その条件に当てはまる企業(銘柄)の方が、当てはまらない企業よりも株価が大きく上昇しているケースが多く見られるのです。その差は、統計学的にも有意な差であることが数多くの実証研究によって明らかになっています。

いくつかある条件の中で、私が特に株式投資の初心者にお勧めしているのは、次の4つの条件から投資先候補を見つける方法です。それは、

①IPO(新規株式公開)をしてから10年以内の企業であること
②社長または最高経営責任者(CEO)が創業者であること
③その社長・CEOが一定割合以上の自社株を所有していること、つまり、オーナー経営者であること
④時価総額が500億円未満であること

です。

これらは、株価が上がる企業に共通する“素質”のようなものと考えてもいいでしょう。

①と④は、企業の成長力に関わる条件です。まだ若くて、伸びしろが大きいかどうかを判断する材料になります。②と③は、意思決定(decision making)のスピードに関わる成長条件です。創業者が経営実権を握っているオーナー経営の企業は、大企業よりも意思決定が速い傾向があります。何事もトップダウンで即断即決できるからです。変化が激しい今のような時代には、これは大きな武器と言えます。

最大のリスクはオーナー社長の経営判断ミス

市川雄一郎『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)
市川雄一郎『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)

その半面、これは両刃の剣でもあります。オーナー社長が判断を誤れば、規模がまだ小粒なだけにアッという間に傾いてしまう場合もあります。この点は小型株の最大のリスク要因と言えます。

いずれにせよ、どれも大変シンプルで、初心者にもわかりやすい条件だと思います。この4条件でスクリーニングするだけで、投資先候補はかなり絞られます。そのうえで、時代のトレンドを自分なりに分析し、応援したい企業や事業内容が良く理解できる企業などを選ぶと良いでしょう。

 
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