最先端の科学では人間の脳=こころの謎が次々明らかになってきている。著書『スピリチュアルズ「わたし」の謎』(幻冬舎)でその全貌を紹介した作家の橘玲氏は「音楽や洋服の趣味がまったく合わないひととは友だちになれないし、恋人としても相性が悪い。スピリチュアルは、自分にぴったりの相手と出会うためにつねに(無意識の)メッセージを交換している」という──。
※本稿は、橘玲『スピリチュアルズ「わたし」の謎』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
「いいね!」とパーソナリティを結びつける
有権者の一人ひとりがどのようなパーソナリティの持ち主で、どのような広告=メッセージに反応するかがわかれば、選挙戦を有利に進めることができる。
この「マイクロマーケティング」の背後にあるのがビッグファイブ理論(※1)であり、「いいね!」とパーソナリティを結びつけるアルゴリズムだ。これについてはイギリスのジャーナリスト、ジェイミー・バートレットが自らの体験を書いている(※2)。
スタンフォード大学に移籍したミハル・コシンスキー(※3)を訪ねたバートレットは、自分の「いいね!」を200ほど差し出した。
「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア(イタリア系マフィアのボスとその周囲の人間関係を描いた人気テレビドラマ)」、ケイト・ブッシュ(イギリスの前衛的な女性シンガー)、「ターミネーター2(アーノルド・シュワルツェネッガー主演、ジェームズ・キャメロン監督の1991年のSF映画)」「スペクテーター(1828年創刊の“世界最古の週刊誌”)」などだ。
※1 人間が持つさまざまな性格は、「外交的/内向的」「楽観的/悲観的」「協調整」「堅実性」「経験への開放性」の5つの要素の組み合わせで構成されるという考え方。
※2 ジェイミー・バートレット『操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』草思社
※3 ケンブリッジ大学心理統計センターにいたポーランド人研究者。フェイスブックのユーザーから、ビッグファイブの心理特性を収集。そのビッグデータを解析して心理プロファイルを作成した。