スキンケアにもハマる

本当の意味でのスキンケアというものを知りませんでした。一応、入浴時に顔を洗う時は洗顔料を使用し、身体はボディソープで洗います。ボディソープで全身洗うようなことはしていません。その使い分けがスキンケアだと思っていました。

メンズコスメの市場が拡大していることや化粧をする若者が増えていることは情報として知ってはいましたが、自分にはあまり関係のない世界だと思っていたのです。

ある時、コスメのプロの方によるスキンケアやメイクのお話を聞く機会があり、何回も話を聞いているうちに、自分のスキンケアの概念がいかに間違っていたかを知り、正しい方法でやってみようかなと興味がわきました。

まずは正しいスキンケアには何が必要なのか、複数の専門家に聞いて回り、洗顔ネットや化粧水や乳液を買い揃えます。これでもかというくらい洗顔料を泡立て、直接手が肌に触れないように顔を洗います。流す際も水気を拭きとる際も絶対にこすりません。

洗顔する男性
写真=iStock.com/kyonntra
※写真はイメージです

洗った直後に化粧水。はじめは500円玉のサイズを出してハンドプレスと言われる方法で浸透させます。化粧水が馴染んだら次は10円玉サイズ。最後は1円玉サイズで同じことを繰り返し、乳液を塗って終わりです。これを朝晩行います。

そうすると、1週間も経過しないうちから変化が。明らかに毛穴は小さくなり、アゴにできていたニキビは沈静化し、顔色が良くなったのです。

普段正しい方法でスキンケアしていないおじさんの肌は荒れ果てた荒野なのです。地面はひび割れ、草木は枯れ、乾燥した風が吹いている、試される大地なのです。

そこを開拓していくのですから、普段スキンケアしている女性よりも伸びしろがあるのは当然です。しかも多くの独身男性はルーティーンを守ることが得意です。正しい知識さえ得られれば、愚直に言われたことを続けられるのです。

僕は、朝は水で顔洗っておしまいだったので正直はじめはめんどうでしたが、モテたいという下心も手伝って、半年経過した今でも朝晩のスキンケアはマシンのように正確に行っています。この過程に心地よさを感じます。肌の状態がよくなっていくこと以上に、自分の伸びしろを発見し、それを埋めるための新しいルーティーンによって自分の生活の質が向上することが心地いいのです。

みんな「伸びしろ」を探している

先日、美容に詳しい友人にスキンケアを始めたことを知らせると、「これ使ってみなよ」と美容液をもらいました。いかにも高そうな瓶に入ったその液体は、おじさんの肌に新しい命を吹き込みました。そして、驚くのです。まだ伸びしろあったんかと。

ウイ『38歳、男性、独身 淡々と生きているようで、実はそうでもない日常。』(KADOKAWA)
ウイ『38歳、男性、独身 淡々と生きているようで、実はそうでもない日常。』(KADOKAWA)

最近、シャンプーブラシを投入しました。毎晩シリコン製のブラシで頭皮を揉むように洗い上げます。指で洗うよりも頭皮がきれいになっているかどうかなんて正直分かりません。

しかし、明らかに顔が引きあがり表情もスッキリするのです。指でシャンプーする時代は終わりです。頭皮にもありました。アラフォーの伸びしろ。

きっと、ゴルフも一緒なのかなと考えます。おじさんになってからハマる人が多いのは、練習次第で飛距離が伸びたり真っすぐ飛んだりして、スコアという分かりやすい数値が縮んでいくことに自分の伸びしろを見出しているのかもしれません。ダイエットやジョギングもそう。あれは健康は建前で、本音は伸びしろ探しなのです。

一人暮らし歴20年のおじさんの家に増えていく美容グッズ。最近、ヘアオイルが気になり始めています。

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