小さいのに強いイスラエルの秘密

2021年5月25日、11日間にわたって続いた、イスラエルとパレスチナの武装勢力ハマスの軍事衝突が、エジプトの仲介で停戦した。

イスラエルの防空システム「アイアンドーム」。
イスラエルの防空システム「アイアンドーム」。(AFP=時事通信フォト=写真)

ハマスは数千発のロケット弾を発射したが、イスラエル側は防空迎撃システム「アイアンドーム」でロケット弾のほとんどを迎撃した。イスラエル軍によれば、標的の90%以上を撃ち落としたそうで、まさに「鉄の天井」だ。

逆にパレスチナのほうが、イスラエル軍の空爆を連日受けた。報道によれば、パレスチナ側の犠牲者数はイスラエルの10倍ほど。それでも停戦後、ハマスの幹部は「偉大な勝利だ」と勝利演説をしたというから懲りていない。

米国のバイデン大統領は、交戦が始まった2日後にイスラエルのネタニヤフ首相(当時)に電話して停戦をすすめた。トランプ前大統領が常にイスラエル側だったのに対して、外交経験が豊富なバイデンは慎重に対応したと見ていい。ただ、トランプ路線を急に切り替えることが難しいのも事実だ。アメリカ国内のユダヤ人が機嫌を損ねると巨額の金が逃げていくし、戦争で儲ける軍事ロビーもうるさい。だから、今やアメリカの傀儡政権が支配するエジプトが、停戦の仲介役を務めたのだ。